Hazardous Materials Warehouse
「危険物倉庫」は通称で、消防法上の正式名称ではありません。保管する危険物の種類・数量により、施設区分や手続きが異なります。屋内保管は主に次のとおりです。
「危険物貯蔵所(屋内貯蔵所など)」として許可が必要で、構造・設備・消火設備などの基準を満たす必要があります。
「少量危険物」として、設置場所に適用される火災予防条例に基づく位置・構造・設備等の基準が適用されます。届出の要否、届出時期および具体的な基準は、自治体によって異なります。

いずれも、事前に危険物の種類と数量を正確に把握することが重要です。
本記載は一般的な整理であり、これだけで法令上の適合性や行政手続の要否を最終判断できるものではありません。実際の法令チェック完了とするためには、所轄消防署や自治体への確認が必要です。
貯蔵数量を指定数量と比較し、該当する区分を確認してください。
屋内貯蔵所(危政令第2条第1号)
少量危険物の容器保管(設置場所に適用される火災予防条例)
独立した専用建築物(平家建て)(危政令第10条第1項)
独立した専用建築物(平家建て以外)(危政令第10条第2項)
※貯蔵できる危険物に制限があります。
他用途部分を有する建築物の一部(危政令第10条第3項)
※指定数量の倍数20以下などの条件があります。
危険物倉庫・保管庫を検討
※「危険物倉庫・保管庫を検討」および「GSAシリーズ」は、法令上の施設区分を示すものではなく、少量危険物を容器で保管する場合の製品検討上の選択肢です。
※「危政令」は、「危険物の規制に関する政令」を示します。
※指定数量の5分の1未満であっても、危険物の貯蔵・取扱いについて、火災予防条例上の基準が適用されます。
※指定数量の異なる複数の危険物を同一の場所で貯蔵する場合は、それぞれの貯蔵数量を指定数量で除した値の合計により判断します。
※ツリーは主な区分を示したものです。危険物の種類、数量、貯蔵方法、建築物等の形態によって、ほかの区分や特例が適用される場合があります。計画時は、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
前の分類のうち、独立した平家建ての屋内貯蔵所に適用される主な基準を示します。
以下は、危政令 10Ⅰ が適用される、指定数量以上、指定数量の倍数が 10 倍以下の独立した平家建ての屋内貯蔵所について、原則となる主な基準をまとめたものです。
| 区分 | 主な項目 | 主な基準 | 根拠法令 |
|---|---|---|---|
| 敷地・配置 | 保安距離 | 同一敷地内を除く住居から 10m 以上、学校・病院・劇場等から 30m 以上、重要文化財等から 50m 以上など、周辺施設に応じた距離を確保する。住居、学校等、重要文化財等については、防火上有効な塀等を設け、市町村長等が安全であると認めた場合、別に定める距離とすることができる。 | 危政令 10Ⅰ 一・9Ⅰ 一 |
| 保有空地 | 5 倍以下:壁・柱・床が耐火構造の場合は不要、その他の場合は 0.5m 以上。 5 倍超~10 倍以下:壁・柱・床が耐火構造の場合は 1m 以上、その他の場合は 1.5m 以上。 所定の防火措置等を講じた場合は、空地の幅を減じ、または空地を設けないことができる場合がある。 | 危政令 10Ⅰ 二・危規則 14 | |
| 表示 | 標識・掲示板 | 見やすい場所に、屋内貯蔵所であることを表示する標識と、危険物の類・品名・最大数量・指定数量の倍数等を表示する掲示板を設ける。標識・掲示板は、幅 0.3m 以上、長さ 0.6m 以上とする。危険物の種類に応じて、「禁水」「火気注意」または「火気厳禁」の掲示板を設ける。 | 危政令 10Ⅰ 三・危規則 17・18 |
| 建築物 | 建築物の用途 | 貯蔵倉庫は、危険物の貯蔵・取扱いに使用する独立した専用の建築物とする。 | 危政令 10Ⅰ 三の二 |
| 階数・軒高・床 | 原則として、軒高 6m 未満の平家建てとし、床を地盤面以上に設ける。 | 危政令 10Ⅰ 四 | |
| 床面積 | 1 棟の貯蔵倉庫の床面積は、1,000㎡以下とする。 | 危政令 10Ⅰ 五 | |
| 壁・柱・床・はり | 原則として、壁・柱・床は耐火構造、はりは不燃材料とする。指定数量の倍数が 10 倍以下の場合は、延焼のおそれのない外壁・柱・床を不燃材料とすることができる。延焼のおそれのある外壁は耐火構造とし、出入口以外の開口部を設けない。 | 危政令 10Ⅰ 六 | |
| 屋根・天井 | 屋根は不燃材料で造り、金属板その他の軽量な不燃材料でふく。原則として、天井は設けない。貯蔵する危険物の種類によっては、屋根または天井に特例がある。 | 危政令 10Ⅰ 七 | |
| 開口部 | 窓・出入口 | 窓・出入口には防火設備を設ける。延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設ける。窓または出入口にガラスを使用する場合は、網入りガラスとする。 | 危政令 10Ⅰ 八・九 |
| 床・漏えい対策 | 床の構造 | 危政令 10Ⅰ 十に定める禁水性物品等または第 4 類危険物を貯蔵する場合は、床面に水が浸入・浸透しない構造とする。液状の危険物を貯蔵する場合は、床を危険物が浸透しない構造とし、適当な傾斜と貯留設備を設ける。 | 危政令 10Ⅰ 十・十一 |
| 貯蔵設備 | 架台 | 架台は不燃材料で造り、原則として堅固な基礎に固定する。架台・附属設備・危険物の重量や地震等の荷重に対して安全な構造とし、危険物を収納した容器が容易に落下しない措置を講じる。 | 危政令 10Ⅰ 十一の二・危規則 16 の 2 の 2 |
| 室内設備 | 採光・照明・換気 | 危険物の貯蔵・取扱いに必要な採光、照明および換気設備を設ける。引火点 70℃未満の危険物を貯蔵する場合は、内部に滞留した可燃性蒸気を屋根上へ排出する設備を設ける。 | 危政令 10Ⅰ 十二 |
| 電気設備 | 電気設備 | 電気設備は、電気工作物に関する法令の規定に適合させる。可燃性のガスまたは引火性物質の蒸気が存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所では、電気設備が点火源となる爆発または火災のおそれがないように施設する。 | 危政令 10Ⅰ 十三・9Ⅰ 十七 電気設備に関する技術基準を定める省令 69 |
| 雷対策 | 避雷設備 | 指定数量の倍数が 10 倍の場合は、危規則で定める避雷設備を設ける。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除く。 | 危政令 10Ⅰ 十四・危規則 13 の 2 の 4 |
| 防災設備 | 消火設備 | 貯蔵数量、床面積、軒高、危険物の種類等により、「著しく消火困難」「消火困難」「その他」に区分し、それぞれ必要な消火設備を設ける。 延べ面積が 150㎡を超える場合は、危険物の種類や区画方法等により、「著しく消火困難」または「消火困難」に該当する。 延べ面積 150㎡以下で、指定数量の倍数が 10 倍の場合は、高引火点危険物のみを貯蔵する場合等を除き、原則として「消火困難」に該当し、第 4 種および第 5 種消火設備を設ける。これらに該当しない場合は、第 5 種消火設備を必要な能力単位分設ける。 | 危政令 20・危規則 33~35 |
| 警報設備 | 本表の対象範囲では、指定数量の倍数が 10 倍の場合に警報設備の設置対象となる。 延べ面積が 150㎡を超える場合は、原則として自動火災報知設備を設ける。ただし、150㎡以内ごとに所定の隔壁で区画した場合や、一定の第 2 類・第 4 類危険物のみを貯蔵する場合は、延べ面積 500㎡以上が基準となる。 自動火災報知設備の設置対象に該当しない場合は、消防機関へ報知できる電話、非常ベル、拡声装置または警鐘のうち、1 種類以上を設ける。 | 危政令 21・危規則 36 の 2~38 |
危政令 10Ⅰ には、保安距離、保有空地、建築物、開口部、床、架台、換気、電気設備、避雷設備などの基本基準が定められています。架台の固定、耐震上の安全性および容器の落下防止については、危規則 16 の 2 の 2 に定められています。
消火設備と警報設備は、指定数量の倍数だけでなく、床面積、危険物の種類、区画方法等によって適用内容が変わります。特に本表の上限である 10 倍では、消火設備と警報設備に関する基準の適用境界に当たります。
法:消防法
危政令:危険物の規制に関する政令
危規則:危険物の規制に関する規則
算用数字は「条」、ローマ数字は「項」、漢数字は「号」を表します。
危政令 10Ⅰ 六
=危険物の規制に関する政令第 10 条第 1 項第 6 号
※この表は、危政令 10Ⅰ が適用される、指定数量の倍数が 10 倍以下の独立した平家建ての屋内貯蔵所について、原則となる主な基準を示したものです。
※法令上、指定数量の倍数が 10 倍以上を適用対象とする基準について、本表は 10 倍以下を対象としているため、「指定数量の倍数が 10 倍の場合」と表示しています。10 倍を超える屋内貯蔵所には、数量、床面積、危険物の種類等に応じて別の基準または追加基準が適用されます。
※特定屋内貯蔵所、高引火点危険物、高層式屋内貯蔵所、指定過酸化物、アルキルアルミニウム等、蓄電池により貯蔵される危険物などには、別の基準や特例が適用される場合があります。
※実際に必要となる基準や設備は、危険物の種類、数量、床面積、建築物の構造、貯蔵方法などによって異なります。計画時は、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
ここまでご紹介した位置・構造・設備の基準は、指定数量以上の危険物を貯蔵する屋内貯蔵所に関するものです。
同じ「危険物を容器で保管する」計画でも、貯蔵数量によって検討の入口は変わります。
貯蔵数量で、検討の入口が変わります
一斗缶、ペール缶、携行缶などの危険物容器を、限られたスペースで整理して保管するためのユニット式危険物倉庫・保管庫です。
耐震棚を基準に、危険物容器を整理して収納します。
扉を開け、外側から容器を取り扱う省スペース設計です。
漏えい対策や換気・排気などを、保管物や設置条件に応じて検討します。
型式・仕様は、保管する危険物の種類、数量、容器および設置条件に応じて選定します。
危険物倉庫・保管庫 GSAシリーズを見る※必要となる構造・設備や手続きは、危険物の種類、数量、設置場所および自治体の条例等によって異なります。計画時は、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
危険物倉庫や屋内貯蔵所について、よくある質問をまとめました。
「危険物倉庫」は一般的な呼び方で、消防法上の正式な施設名称ではありません。危険物の種類、貯蔵数量、建築物等の形態などにより、屋内貯蔵所や少量危険物の容器保管などに区分されます。
指定数量未満であっても、指定数量の5分の1以上の場合は、少量危険物として火災予防条例に基づく基準や届出が適用される場合があります。また、指定数量の5分の1未満であっても、危険物の貯蔵・取扱いに関する条例上の基準が適用されます。計画時は、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
まず、保管する危険物の種類と最大数量を確認し、指定数量以上か指定数量未満かを判断します。指定数量以上の場合は屋内貯蔵所としての計画を検討し、指定数量未満の容器保管では、必要な保管機能を一つにまとめた危険物倉庫・保管庫を検討する方法があります。
2026年8月4日
株式会社ヒイラギ