消防法令は、設備の計画や設置を制約すること自体が目的ではありません。過去の火災、漏えい、引火、爆発、設備の破損や誤操作などを踏まえ、危険物を安全に貯蔵し、取り扱うために積み重ねられてきた知識と経験です。
法令や条例に定められた一つひとつの基準には、事故を未然に防ぎ、万一の際にも被害の拡大を抑える目的があります。このページでは、消防法令を単に守るべき決まりとしてではなく、安全な設備を計画し、設置後も適切に維持していくための実用的な資料として利用していただくことを目指しています。
このページでは、消防法から火災予防条例へ至る制度の流れ、指定数量とその倍数の考え方、少量危険物に共通する貯蔵・取扱基準を説明します。さらに、屋外タンク、屋内タンク、タンク以外での屋内貯蔵、配管・ポンプ、届出、検査及び維持管理について、設備を計画する際に確認したい内容を体系的に解説します。
「少量危険物」は、危険物の危険性の大小を表す名称ではなく、指定数量に対する貯蔵量又は取扱量による区分です。数量区分が変わっても、ガソリン、灯油、軽油、重油などが持つ引火性や燃焼性は変わりません。
指定数量は消防法令で定められています。指定数量未満の危険物について、少量危険物として届出の対象となる範囲、届出時期、位置・構造・設備の具体的な基準は、自治体の条例等によって異なります。実際の計画にあたっては、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ事前に確認してください。
少量危険物の制度上の位置づけと、貯蔵量や取扱量による数量区分を説明します。
少量危険物を安全に保管し、取り扱うための基本事項を説明します。
屋外に少量危険物のタンクを設置する場合に確認したい、設置場所、タンク本体、付属設備及び流出防止措置を説明します。
建築物内に少量危険物のタンクを設置する場合に確認したい、屋内の設置場所の構造、換気、流出防止及び付属設備を説明します。
危険物を容器に入れたまま屋内で貯蔵する場合に確認したい、室の構造、流出防止、換気及び容器の保管方法を説明します。
タンク本体だけでなく、配管、継手、バルブ及びポンプを含めた設備全体を安全に計画・点検するための要点を説明します。
設備の新設から、使用開始後の管理、変更・廃止の手続き及び事故時の対応までを説明します。
少量危険物に該当するかを判断するには、最初に、使用する製品が消防法上の危険物に該当するか、その危険物の指定数量がいくつかを把握します。
消防法上の危険物は、商品名や用途だけで決まるものではありません。ただし、実際の現場で使用者が引火点などを測定し、物性から判定するのが通常ではありません。製品の容器ラベル、SDS、メーカー資料を確認し、必要に応じてメーカー又は販売者から書面で回答を受けます。
危険物の品名と指定数量が分かったら、最大の貯蔵量又は取扱量を指定数量で割り、指定数量の倍数を求めます。複数の危険物を同じ場所で扱う場合は、それぞれの倍数を合計します。
消防法第2条第7項は、消防法別表第1の品名欄に掲げられ、同表に定める性状を有する物品を「危険物」としています。指定数量は、消防法第9条の4第1項を根拠として、危険物の規制に関する政令第1条の11及び同令別表第3に定められています。
消防法第2条第7項
危険物とは、別表第1の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ、同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいいます。
まず、容器や包装に表示された消防法上の区分を確認します。あわせて、メーカー又は販売者が発行するSDSの「適用法令」欄等を確認し、消防法上の類別、品名、性状区分、危険等級又は指定数量の記載がない場合は、メーカー又は販売者へ対象製品を特定して書面で確認します。
表示やSDSだけでは分からないとき
対象製品の名称や型式を示し、メーカー又は販売者から次の内容を書面で受けておくと、設備計画や消防相談を進めやすくなります。
SDSは「Safety Data Sheet」の略で、日本語では「安全データシート」といいます。化学品の危険有害性、成分、取扱方法、保管方法、火災時・漏えい時の措置、適用法令などをメーカー又は販売者がまとめた資料です。
| 主な確認箇所 | 見る内容 |
|---|---|
| 製品及び会社情報 | 製品名、製品番号、メーカー名 |
| 危険有害性・組成 | 引火性などの危険性、単一物質か混合物か |
| 物理的及び化学的性質 | 状態、引火点など、メーカーが示す基礎情報 |
| 適用法令 | 消防法上の類別、品名、性状区分、危険等級等 |
| 発行日・改訂日 | 使用している製品に対応する現行資料か |
SDSは、製品の危険有害性や適用法令を確認するための資料です。消防法上の区分が明確でない場合は、SDSだけで判断せず、メーカー又は販売者へ確認します。
| 品名 | 性状区分 | 主な例 | 指定数量 |
|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | ― | ジエチルエーテル等 | 50L |
| 第1石油類 | 非水溶性液体 | ガソリン等 | 200L |
| 第1石油類 | 水溶性液体 | アセトン等 | 400L |
| アルコール類 | ― | メタノール、エタノール等 | 400L |
| 第2石油類 | 非水溶性液体 | 灯油、軽油等 | 1,000L |
| 水溶性液体 | ― | 2,000L | |
| 第3石油類 | 非水溶性液体 | 重油等 | 2,000L |
| 水溶性液体 | ― | 4,000L | |
| 第4石油類 | ― | ギヤー油等 | 6,000L |
| 動植物油類 | ― | 法令上の動植物油類 | 10,000L |
表中の物品名は代表例です。実際に使用する製品の区分は、容器表示、SDS、メーカー資料等で確認してください。
消防法と危険物の規制に関する政令は、危険物の品名と指定数量を定めています。指定数量以上の危険物は、原則として、消防法上の貯蔵所以外では貯蔵できず、製造所・貯蔵所・取扱所以外では取り扱えません。
指定数量未満については、消防法第9条の4により、貯蔵・取扱いと、場所の位置・構造・設備の技術上の基準を市町村条例で定める仕組みです。指定数量未満になっても危険物でなくなるわけではありません。
危険物の定義
指定数量と条例への委任
消防法第9条の4
危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める。
指定数量未満の危険物及び指定可燃物その他指定可燃物に類する物品を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準(第17条第1項の消防用設備等の技術上の基準を除く。)は、市町村条例で定める。
危険物の規制に関する政令第1条の11
危険物の指定数量
法第9条の4の政令で定める数量(以下「指定数量」という。)は、別表第3の類別欄に掲げる類、同表の品名欄に掲げる品名及び同表の性質欄に掲げる性状に応じ、それぞれ同表の指定数量欄に定める数量とする。
東京都火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)第31条
少量危険物の貯蔵及び取扱いの基準
指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物(以下「少量危険物」という。)を貯蔵し、又は取り扱う場所(以下「少量危険物貯蔵取扱所」という。)において、危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、前条に定めるもののほか、次に掲げる技術上の基準によらなければならない。
この条例では、指定数量の5分の1以上、指定数量未満を「少量危険物」としています。指定数量の倍数では0.2以上、1未満です。
危険物の数量は、単純なリットル数だけでなく、その危険物に定められた指定数量に対する割合で判定します。
境界となる数値
0.2ちょうどは少量危険物に含まれます。
1.0ちょうどは指定数量以上に含まれます。
指定数量の5分の1未満であっても、消防法上の危険物であることは変わりません。東京都火災予防条例では、原則として第30条の貯蔵・取扱基準が適用されますが、指定数量の5分の1未満の動植物油類には例外があります。
| 危険物の例 | 指定数量 | 指定数量の5分の1 | 少量危険物となる数量範囲 |
|---|---|---|---|
| ガソリン等 | 200L | 40L | 40L以上200L未満 |
| 灯油・軽油等 | 1,000L | 200L | 200L以上1,000L未満 |
| 重油等 | 2,000L | 400L | 400L以上2,000L未満 |
品名又は指定数量の異なる危険物を同じ場所で貯蔵し、又は取り扱う場合は、リットル数をそのまま足すのではなく、それぞれの指定数量に対する割合を合計します。
東京都火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)第32条
品名又は指定数量を異にする危険物
品名又は指定数量を異にする二以上の危険物を同一の場所で貯蔵し、又は取り扱う場合において、当該貯蔵又は取扱いに係る危険物の数量を当該危険物の指定数量の五分の一の数量で除し、その商の和が一以上となるときは、当該場所は、少量危険物を貯蔵し、又は取り扱つているものとみなす。
「同一の場所」とは、危険物の数量を合算し、届出の要否や位置・構造・設備の基準を判断する範囲です。具体的な区切り方は、屋内、屋外、タンク、容器、取扱工程等の区分によって異なります。
東京消防庁の運用基準では、屋外で容器又は設備により貯蔵し、又は取り扱う場合は原則として敷地ごと、屋内では原則として建築物ごと、タンクにより貯蔵し、又は取り扱う場合は原則としてタンクごととする取扱いが示されています。防火上有効な区画、離隔又は独立性等を満たす場合の取扱いも示されているため、配置図、平面図、配管系統図及び使用方法を示して、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
東京消防庁の運用基準では、タンクにより危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合の「同一の場所」は、原則としてタンクごととする取扱いが示されています。貯蔵と取扱いが同一工程である場合は、同一工程ごととすることができる取扱いも示されています。
消防危第71号(令和2年3月17日)
指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクに係る火災予防条例(例)の運用について
消防庁の消防危第71号(令和2年3月17日)では、地下タンク及び移動タンクを除く少量危険物タンクを複数設ける場合、タンク相互の距離を1メートル以上確保することで、それぞれを一つの貯蔵場所として取り扱うことができるとする技術的助言が示されています。
各タンクに接続する配管は、他のタンクに接続する配管と共用できます。
この通知は、消防組織法第37条に基づく技術的助言です。
計画時に用意する資料
同一の場所の範囲は、配置だけで決まるものではありません。次の資料に最大数量と使用方法を記載し、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談してください。
軽油198Lの例
指定数量:1,000L
198 ÷ 1,000 = 0.198
0.2未満のため、指定数量の5分の1には達していません。
数量区分の境界
0.2未満:指定数量の5分の1未満
0.2以上1未満:少量危険物
1以上:指定数量以上
それぞれの危険物について倍数を求め、その数値を合計します。
| 危険物 | 数量 | 指定数量 | 計算 | 指定数量の倍数 |
|---|---|---|---|---|
| ガソリン | 20L | 200L | 20 ÷ 200 | 0.10 |
| 灯油 | 100L | 1,000L | 100 ÷ 1,000 | 0.10 |
| 軽油 | 100L | 1,000L | 100 ÷ 1,000 | 0.10 |
| 合計 | 220L | ― | ― | 0.30 |
合計0.30は0.2以上1未満のため、少量危険物の範囲です。
東京都火災予防条例第32条では、それぞれの数量を「指定数量の5分の1」で割る換算式を用います。同じ例は、ガソリン0.50、灯油0.50、軽油0.50、合計1.50となり、1以上のため少量危険物に該当します。指定数量に対する倍数の合計0.30を5倍した値が、この換算式の合計1.50に当たり、判定結果は同じです。
貯蔵量・取扱量の算定方法
数量の算定方法は、貯蔵施設、取扱施設及び危険物の取扱形態によって異なります。東京消防庁の運用基準では、貯蔵施設は貯蔵する危険物の全量、取扱施設は取り扱う危険物の全量を基本とし、油圧装置、ボイラー、発電設備等について個別の算定方法を示しています。納品時や一時保管の数量をどのように算入するかを含め、実際の計画を設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
少量危険物の安全対策は、建物やタンクの構造だけではありません。火気、漏えい、換気、容器、棚、標識、消火器具など、日常の貯蔵・取扱いで確認する事項があります。
この章では、日常の貯蔵・取扱いに共通する安全対策と、地震時の棚の転倒及び容器の落下を防ぐための基準を説明します。
この章の条文表記
この章で引用する第30条、第31条、第31条の2は、東京都火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)の条文です。自治体によって条例や運用が異なる場合があるため、具体的な計画は設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
第30条は、危険物を扱う場所で火気を使用しないことを基本とし、やむを得ず使用する場合は、通風、換気、区画等の安全措置を求めています。
炎だけでなく、溶接・研磨の火花、高温となる設備、スイッチやモーターの電気火花、静電気も着火源になる場合があります。危険物を置く場所だけでなく、給油、詰替え、清掃、修理の作業範囲まで見て、着火源との位置関係を決めます。
第30条第6号
危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、当該危険物が漏れ、あふれ、又は飛散しないよう必要な措置を講ずること。
容器、タンク、配管、バルブ、ポンプ、ホースの材質や接続を適切にし、注入時は受入可能量と液面を見ます。万一漏れた場合に排水口や側溝へ流れないよう、床の勾配、囲い、受皿、防油堤等も考えます。
防油堤その他の流出防止措置は、漏れた危険物が周囲へ広がらないように計画します。必要な容量、算定方法、排水方法等は、対象施設と自治体によって異なるため、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
第30条第4号
危険物を収納した容器を貯蔵する場合は、地震動等による災害の発生を防止するため、次に掲げる方法により行うこと。
イ 戸棚、棚等は、容易に傾斜し、転倒し、又は落下しないよう固定すること。
ロ 容器の転倒、転落又は破損を防止するため、有効な柵、滑り止め等を設けること。
ハ 他の物品が容易に落下するおそれのない場所に貯蔵すること。
ニ 接触又は混合により発火するおそれのある危険物又は物品は、相互に接近して置かないこと。
第31条の2第1項第4号
危険物を収納した容器を架台で貯蔵する場合は、当該架台を特定不燃材料で堅固に造るとともに、地震動等により容易に転倒しないよう固定すること。
火災予防条例で使用される材料区分は、自治体によって異なります。
「不燃材料」は、建築基準法第2条第9号に規定する不燃材料です。
東京都火災予防条例では、不燃材料のうち、コンクリート、れんが、鉄鋼、アルミニウム、モルタル、しっくいその他これらに類する不燃性の材料を「特定不燃材料」としています。
東京都火災予防条例で特定不燃材料が求められる箇所では、建築基準法上の不燃材料であることだけで判断せず、使用する材料が特定不燃材料に該当するかを確認します。他の自治体では不燃材料と定める場合があるため、設置場所の条例と使用する材料を照合し、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
東京消防庁の運用基準では、東京都火災予防条例の「固定」「有効な柵」「滑り止め」について、次のような取扱いが示されています。
棚の固定方法、柵の形状及び滑り止めの具体的な取扱いは、自治体によって異なります。棚の形状、容器の大きさ及び収納重量を示して、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
次の項目は、条例又は運用基準の条文をそのまま示したものではなく、棚を安全に計画し、点検するためにヒイラギが確認を勧める事項です。
名称だけで判断しない
「耐震棚」という名称だけで判断せず、固定方法、落下防止、滑り止め、積載荷重を具体的に見ます。
東京都火災予防条例第31条は、危険物の性質に応じた遮光又は換気を求めています。また、第31条の2第1項第3号は、屋内の少量危険物貯蔵取扱所に、必要な採光、照明及び換気の設備を設け、可燃性蒸気等が著しく多量に発生するおそれがある部分には、屋外の高所で、かつ、火災予防上安全な場所へ排出する設備を設けることとしています。
密閉容器を保管するだけの場合と、開封、詰替え、移送を行う場合では、蒸気の発生状況が異なります。給気口と排気口の位置、床面より低いピットや溝、排気先の火気や開口部に注意します。
第30条は、危険物を扱う場所の整理・清掃と、安全な方法による廃棄を求めています。容器、タンク、配管、バルブの周囲を見渡せる状態に保ち、通路や操作場所を塞がないようにします。
設備を検査又は修理するときは、危険物を除去するなど、安全な措置を講じてから作業します。設備を停止しただけでは、配管やポンプに危険物や可燃性蒸気が残っている場合があります。
東京都火災予防条例第31条の2では、少量危険物貯蔵取扱所の見やすい箇所に、施設を示す標識と、危険物の類、品名及び最大数量を示す掲示板を設けることとされています。移動タンク以外の少量危険物貯蔵取扱所では、防火上必要な事項も掲示します。
標識及び掲示板の様式は、東京都火災予防条例施行規則に定められています。具体的な大きさ、色、文字及び掲示内容は自治体によって異なるため、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
東京都火災予防条例第31条の2第3項では、少量危険物貯蔵取扱所には、危険物の消火に適応する消火設備を設けることとされています。移動タンク以外の少量危険物貯蔵取扱所には第五種の消火設備、移動タンクには自動車用消火器を設ける基準が示されています。
消防法第17条第1項の適用を受ける建物における取扱いや、必要な種類、能力、数量及び配置は、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
少量危険物を屋外タンクに貯蔵し、発電機、ボイラーその他の設備へ供給する場合は、タンク本体だけでなく、設置場所、周囲の空地、基礎・架台、通気管、注入口、弁、液量確認装置、防油堤その他の流出防止措置、消火設備などについても確認する必要があります。
火災の拡大防止、危険物の漏えい・流出防止、可燃性蒸気の安全な排出、タンクの強度、地震等による移動・転倒防止、通気及び液量確認などは、屋外タンクを計画する際の基本的な確認事項です。具体的な数値、材料区分、設備方式、適用条件、例外及び容量の考え方は、自治体によって異なります。
実際に計画する際は、配置図、平面図、立面図、タンク図、基礎・架台図、防油堤その他の流出防止措置の構造図、配管系統図等を用意し、製作や工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談してください。
| 確認項目 | 区分・確認箇所 | 少量危険物に関する主な基準・確認内容 |
|---|---|---|
| 設置場所・貯蔵取扱範囲 | 貯蔵・取扱範囲 | ・タンク、注入口、ポンプ、弁その他の危険物を取り扱う設備の配置及び相互の関係を確認する。 ・配置図等によって、少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う範囲を明確にする。 |
| 地盤 | ・タンク、基礎、架台及び防油堤その他の流出防止措置を安定して支持できる場所とする。 ・地盤の沈下、傾斜等によってタンクや配管が損傷しないようにする。 | |
| 周囲の空地 | 基本 | ・火災の拡大防止及び消防活動等に必要な空地を確認する。 ・必要な空地の幅、対象となる数量区分及び防火上有効な塀等による代替措置は、自治体によって異なる。 |
| 東京都の基準例 | ・東京都火災予防条例では、屋外タンクの周囲に幅1m以上の空地を保有し、又は防火上有効な塀を設けることとされている。 ・開口部のない防火構造の壁又は東京都火災予防条例でいう特定不燃材料で造った壁に面する部分については、この空地又は塀の基準は適用されない。 | |
| 空地内の管理 | ・空地内には、延焼の媒体となるもの又は消防活動の支障となるものを置かない。 ・配管その他の工作物を設ける場合は、防火上及び消防活動上の支障がないことを確認する。 | |
| 防火上有効な塀 | 基本 | ・必要な空地を確保できない場合に、防火上有効な塀による代替が認められるかを確認する。 ・塀の材質、高さ、幅、強度及び対象範囲は、自治体の条例又は運用基準等を確認する。 |
| 材質 | 東京消防庁の運用基準では、東京都火災予防条例でいう特定不燃材料で造る取扱いが示されている。 | |
| 高さ・範囲 | ・東京消防庁の運用基準では、高さを1.5m以上とし、対象施設の高さが1.5mを超える場合は、その施設の高さ以上とする取扱いが示されている。 ・同運用基準では、空地を確保できない部分を有効に遮へいできる範囲以上に設ける取扱いが示されている。 | |
| 強度 | 東京消防庁の運用基準では、地震等によって容易に破損又は倒壊しない構造とする取扱いが示されている。 | |
| タンク本体 | 材質 | ・貯蔵する危険物の性質及び使用条件に適した材料を選定する。 ・具体的な材料区分及び鋼板以外の材料を使用する場合の取扱いは、自治体の条例又は運用基準等を確認する。 |
| 板厚 | ・東京都火災予防条例では、鋼板製タンクについて、タンク容量に応じて後記「東京都火災予防条例におけるタンク容量別の鋼板の厚さ」以上とすることとされている。 ・同条例では、鋼板と同等以上の機械的性質を有する材料を使用できる。具体的な板厚の算定方法は、自治体の運用基準等を確認する。 | |
| 構造 | ・危険物が漏れないよう、気密に造る。 ・溶接部、接合部及び付属品取付部についても漏れのない構造とする。 | |
| 圧力タンク以外の試験 | 東京都火災予防条例では、液体危険物用の圧力タンク以外のタンクについて、水張試験で漏れ又は変形がないことを確認することとされている。 | |
| 圧力タンクの試験 | 東京都火災予防条例では、液体危険物用の圧力タンクについて、最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間行う水圧試験で、漏れ又は変形がないことを確認することとされている。 | |
| 基礎・架台 | 基本 | ・タンク、貯蔵する危険物及び付属設備の荷重を安全に支持できる構造とする。 ・基礎及び架台の具体的な材料、構造、高さ等は、自治体の条例又は運用基準等を確認する。 |
| 基礎の構造例 | ・東京消防庁の運用基準では、基礎を鉄筋コンクリート造とする取扱いが示されている。 ・同運用基準では、べた基礎の場合に無筋コンクリート造とする取扱いが示されている。 | |
| 架台 | ・東京消防庁の運用基準では、東京都火災予防条例でいう特定不燃材料で造る取扱いが示されている。 ・同運用基準では、満油状態の荷重を十分に支え、地震動時の振動に十分耐える構造とする取扱いが示されている。 | |
| 架台の高さ | 東京消防庁の運用基準では、架台の高さを地盤面又は床面から3m以下とする取扱いが示されている。 | |
| タンクの固定 | 固定 | 地震動等によってタンクが容易に破損又は転倒しないよう、基礎又は架台へ固定する。 |
| 固定方法 | ・東京消防庁の運用基準では、固定用板とアンカーボルト、又は締付バンドとアンカーボルト等によって固定する方法が示されている。 ・固定金具は、満油時の荷重、引抜力及びせん断力等を考慮して選定する。 | |
| 固定金具 | 東京消防庁の運用基準では、固定バンド、アンカーボルト等にさび止め塗装を行う取扱いが示されている。 | |
| 腐食防止 | タンク外面 | ・タンク外面には、さび止め塗料による塗装その他の腐食防止措置を講ずる。 ・ステンレス鋼その他さびにくい材質についても、危険物の性質及び使用環境に応じて確認する。 |
| 底板外面 | タンクの底板を地盤面に接して設ける場合は、底板外面の腐食を防止する措置を講ずる。 | |
| 措置の例 | 東京消防庁の運用基準では、アスファルトサンド若しくはアスファルトモルタルの敷設又は底板外面への防食塗装等が示されている。 | |
| 通気管・安全装置 | 通気管 | 圧力タンクを除くタンクには、内部の圧力を安全に調整できる有効な通気管を設ける。 |
| 内径 | 東京都火災予防条例施行規則では、通気管の内径を20mm以上とすることとされている。 | |
| 先端の高さ | 東京都火災予防条例施行規則では、通気管の先端を地上又は床上2m以上の高さとすることとされている。 | |
| 開口部等との距離 | 東京都火災予防条例施行規則では、通気管の先端を建築物の窓等の開口部又は火を使用する設備等の給排気口から1m以上離すこととされている。 | |
| 先端・配管の構造 | ・東京都火災予防条例施行規則では、先端を雨水の浸入を防ぐ構造とすることとされている。 ・同規則では、油が滞留するおそれのある屈曲を設けないこととされている。 | |
| 引火防止措置の対象 | ・引火防止措置を必要とする危険物の条件は、自治体によって異なる。 ・東京都火災予防条例では、引火点40℃未満の危険物又は引火点以上の状態で貯蔵・取り扱う危険物について、通気管に引火防止措置を講ずることとされている。 | |
| 引火防止措置の例 | 東京消防庁の運用基準では、通気管先端に40メッシュ程度の銅網若しくはステンレス網を設ける方法又は同等以上の引火防止性能を有する方法が示されている。 | |
| 圧力タンク | 圧力タンクには、内部の圧力が異常に上昇することを防ぐ有効な安全装置を設ける。 | |
| 注入口 | 設置場所 | 注入口は、火気使用場所から十分な距離を確保するなど、火災予防上安全な場所へ設ける。 |
| 火気等への対策 | ・東京消防庁の運用基準では、火気使用場所と防火上有効に遮へいされた場所とする取扱いが示されている。 ・同運用基準では、引火点40℃未満の危険物を扱う場合、危険物蒸気が滞留するおそれのある場所を避ける取扱いが示されている。 | |
| 弁又はふた | ・注入口には、弁又はふたを設ける。 ・使用していないときに確実に閉鎖できる構造とする。 | |
| 識別 | 東京消防庁の運用基準では、複数の注入口を併設する場合、ふたに容易に識別でき、かつ、容易に消えない方法で表示する取扱いが示されている。 | |
| 弁・タンク接続部 | タンク直近の弁 | タンクの配管には、タンク直近の部分に、随時容易に開閉できる弁を設ける。 |
| 弁の材質・構造 | 東京消防庁の運用基準では、注入口又はタンク直近に設ける弁、バルブ、コック等を金属製で、かつ、漏れない構造とする取扱いが示されている。 | |
| 操作性 | 漏えい等の異常時に速やかに閉止できる位置とし、弁の操作を妨げる物を置かない。 | |
| 地震対策 | 地震動等によって、配管とタンクとの結合部分が損傷しない措置を講ずる。 | |
| 可撓管継手等 | ・東京消防庁の運用基準では、配管結合部の直近へ、耐熱性を有し、地震動等によって容易に離脱しない可撓管継手を設ける方法が示されている。 ・継手の種類、長さ及び配管方法の詳細は、第6章で説明する。 | |
| 液面又は貯蔵量の確認 | 基本 | タンクの見やすい位置に、危険物の量を把握できる装置を設ける。 |
| 装置の方式 | ・東京都火災予防条例施行規則では、蒸気が容易に発散しない浮子式計量装置、電気式、圧力作動式、アイソトープ利用方式等が示されている。 ・使用できる方式及び具体的な構造は、自治体によって異なる。 | |
| ガラス管式計量装置 | ・東京都火災予防条例施行規則では、金属管で保護した硬質ガラス管で、かつ、閉止弁を設けた計量装置が示されている。 ・ガラス管式計量装置の可否及び条件は自治体によって異なるため、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認する。 | |
| 注入口から確認できない場合 | ・注入口付近から液量確認装置を確認できない場合は、注入量がタンク容量に達したときに警報を発する装置等を、注入口付近へ設ける。 ・東京都火災予防条例施行規則では、音響によって自動的に警報を発する装置とすることとされている。 | |
| 防油堤その他の流出防止措置 | 基本 | ・液体危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの周囲には、漏えいした危険物の流出を防止する有効な措置を講ずる。 ・必要となる対象数量、構造、材料、容量及び代替措置は、自治体によって異なる。 |
| 東京都の構造例 | ・東京都火災予防条例施行規則では、タンクの周囲にコンクリート等で造られた流出どめを設けることとされている。 ・同規則では、流出どめをタンクの側板から0.5m以上離すこととされている。 | |
| 材料・収容容量 | ・消防庁の消防危第71号(令和2年3月17日)では、囲いを鉄筋コンクリート製又は鋼板、ステンレス等の金属製とする考え方が示されている。 ・同通知では、囲いの容量をタンクの最大容量以上の量を収容できる容量とする考え方が示されている。 | |
| 複数タンク | ・消防庁の消防危第71号(令和2年3月17日)では、複数タンクを一つの囲いに設ける場合、最大容量のタンク以上の量を収容できる容量とする考え方が示されている。 ・同通知では、タンク直近の開閉弁の操作等により、複数のタンクから同時に危険物が流出するおそれのないものとする考え方が示されている。 | |
| 内部の地盤面・水抜口 | ・東京消防庁の運用基準では、内部の地盤面をコンクリート等の遮油性を有する材料で被覆する取扱いが示されている。 ・同運用基準では、水抜口を設ける場合に弁付きとする取扱いが示されている。 | |
| 塀又は壁の兼用 | 東京消防庁の運用基準では、危険物の流出を有効に防止できる防火上有効な塀又は開口部のない壁を、流出どめに代えることができる取扱いが示されている。 | |
| 配管貫通部 | 配管等が防油堤その他の流出防止措置を貫通する部分は、危険物が外部へ流出しない構造とする。 | |
| 雨水・排水管理 | 雨水 | 雨水の滞留によって、防油堤その他の流出防止措置に必要な収容容量を損なわないよう管理する。 |
| 水抜弁 | 水抜弁は通常閉鎖して管理し、排水後は確実に閉鎖したことを確認する。 | |
| 排水前の確認 | 排水する前に、油膜、油臭その他の異常及び危険物の混入の有無を確認する。 | |
| 危険物が混入した場合 | 危険物が混入した水の回収及び処理方法は、危険物の性質、関係法令及び施設の排水条件を確認する。 | |
| その他の安全設備 | 漏れ・あふれ・飛散防止 | ・危険物を取り扱う設備は、危険物の漏れ、あふれ又は飛散を防止できる構造とする。 ・設備自体で防止できない場合は、受け皿、囲い、停止装置その他の付帯設備を設ける。 |
| 静電気対策 | 静電気による災害が発生するおそれのある設備には、静電気を有効に除去する装置を設ける。 | |
| 電気設備 | ・電気設備は、電気工作物に関係する法令の規定に適合させる。 ・可燃性蒸気が滞留するおそれのある場所では、その場所に適した設備を使用する。 | |
| 消火設備 | 基本 | ・消火設備の要否、種類、能力及び設置数は、消防法第17条の適用関係、建築物の用途及び自治体の条例・指導基準等によって異なる。 ・設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認する。 |
| 東京都火災予防条例の基準例 | 東京都火災予防条例では、消防法第17条第1項の適用を受けない少量危険物貯蔵取扱所に、危険物に適応する第五種の消火設備を設けることとされている。 | |
| 設置位置・管理 | ・設ける場合は、火災時に速やかに使用でき、漏えいした危険物又は火炎によって容易に使用できなくならない位置を検討する。 ・屋外に設置する消火器等は、風雨、直射日光及び腐食の影響を考慮して管理する。 | |
| 標識・掲示板 | 設置位置 | 外部から見やすい位置に、標識及び掲示板を設ける。 |
| 標識 | 少量危険物貯蔵取扱所である旨を表示する。 | |
| 掲示内容 | ・危険物の類 ・危険物の品名 ・最大数量 ・防火に関し必要な事項 | |
| 表示内容 | 実際に貯蔵し、又は取り扱う危険物及び届出内容と一致させる。 | |
| 材質・表示方法 | 屋外で使用するため、風雨によって容易に汚損又は消失しない材質及び表示方法とする。 |
東京都火災予防条例では、鋼板製タンクについて、タンク容量に応じて次の板厚以上とすることとされています。
| タンク容量 | 鋼板の厚さ |
|---|---|
| 40L以下 | 1.0mm以上 |
| 40Lを超え100L以下 | 1.2mm以上 |
| 100Lを超え250L以下 | 1.6mm以上 |
| 250Lを超え500L以下 | 2.0mm以上 |
| 500Lを超え1,000L以下 | 2.3mm以上 |
| 1,000Lを超え2,000L以下 | 2.6mm以上 |
| 2,000Lを超えるもの | 3.2mm以上 |
※上表は、東京都火災予防条例第31条の2第2項第1号ロに定められている鋼板製タンクの板厚です。具体的な容量区分、使用できる材料及び試験方法は、設置場所の自治体基準を確認してください。
屋外タンクを設置する際は、タンク本体だけでなく、注入口、ポンプ、弁、配管その他の危険物を取り扱う設備を含めて、少量危険物の貯蔵・取扱範囲を確認します。
タンク、注入口、ポンプ、弁その他の設備の配置及び相互の関係が分かるよう、配置図や配管系統図等に貯蔵・取扱範囲を明示します。屋外タンクについて、排水溝、さく、縁石等による境界の明示を一般的な基準として扱わず、設置区分に対応する自治体の条例等を確認します。
タンクを設置する地盤は、タンク、基礎、架台、防油堤その他の流出防止措置及び貯蔵する危険物の重量を安定して支持できることが重要です。地盤沈下や基礎の傾きが生じると、タンク本体だけでなく、タンクに接続された配管や弁の損傷につながります。
複数のタンクや他の危険物設備を近接して設ける場合は、危険物の合計数量、設備相互の位置、使用方法及び配管の接続状況を示し、施設範囲の考え方を設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
屋外タンクの周囲に設ける空地には、火災の拡大を防ぎ、点検、弁の操作、初期消火及び消防活動に必要な空間を確保する目的があります。必要な空地の幅、対象となる数量区分及び代替措置は、自治体によって異なります。
東京都火災予防条例では、屋外タンクの周囲に幅1m以上の空地を保有し、又は防火上有効な塀を設けることとされています。ただし、開口部のない防火構造の壁又は東京都火災予防条例でいう特定不燃材料で造った壁に面する部分については、この空地又は塀の基準は適用されません。
空地内には、可燃物、資材、容器その他の延焼の媒体となるものを置かず、点検や消防活動を妨げる工作物を設けないようにします。
東京消防庁の運用基準では、防火上有効な塀を東京都火災予防条例でいう特定不燃材料で造り、高さを1.5m以上とする取扱いが示されています。対象施設の高さが1.5mを超える場合は、その施設の高さ以上とし、空地を確保できない部分を遮へいできる範囲以上に設ける取扱いです。
壁又は塀の材質、高さ、幅、開口部の有無及び強度を配置図や立面図で示し、適用できる例外又は代替措置を設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
タンク本体は、貯蔵する危険物を安全に保持できる材質、板厚及び構造とします。具体的な材料区分、板厚の算定方法及び試験方法は、自治体の条例又は運用基準等を確認します。
東京都火災予防条例では、タンク容量に応じた厚さの鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で、タンクを気密に造ることとされています。
東京消防庁の運用基準では、鋼板と同等以上の機械的性質を有する金属板について、使用する材料の引張強さに応じて板厚を算出する取扱いが示されています。
タンクは、胴板、鏡板、底板、溶接部、ノズル及び付属品取付部から危険物が漏れない構造とします。
東京都火災予防条例では、液体危険物用タンクについて、圧力タンク以外は水張試験、圧力タンクは最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間行う水圧試験によって、漏れ又は変形がないことを確認することとされています。
計画時は、試験方法、試験圧力、試験時間及び試験結果を示す資料を用意します。
基礎及び架台は、タンク本体だけでなく、満油時の危険物、付属設備、配管等の重量を安全に支持できる構造とします。
東京消防庁の運用基準では、基礎を鉄筋コンクリート造とし、べた基礎の場合は無筋コンクリート造とすることができる取扱いが示されています。
同運用基準では、架台を東京都火災予防条例でいう特定不燃材料で造り、満油状態の荷重を十分に支え、地震動時の振動に十分耐える構造とし、架台の高さを地盤面又は床面から3m以下とする取扱いが示されています。
タンクは、地震動等によって容易に破損又は転倒しないよう、アンカーボルト、固定用板、締付バンド等によって基礎又は架台へ固定します。
基礎の大きさ、厚さ、鉄筋及びアンカーボルトの仕様は、タンクの重量、形状、設置地盤、引抜力及びせん断力等を考慮して確認します。これは、計画上の構造安全性を確認する事項です。
固定金具、アンカーボルト、ナット及び溶接部は、雨水や結露による腐食を考慮し、固定後も緩み、変形、発錆及び減肉を確認できる構造とします。
鋼製タンクでは、タンク外面へさび止め塗装その他の腐食防止措置を講じます。
屋外タンクは、雨水、紫外線、潮風、薬品蒸気等の影響を受けるため、設置環境に適した塗装仕様を選定します。これは、法令上の基準に加えて確認する設計上の事項です。
タンク底部、架台との接触部、固定バンドの内側、アンカーボルト周辺及び水がたまりやすい部分は、外から見える部分より腐食状況を確認しにくいため、点検できる配置とします。
タンクの底板を地盤面へ接して設ける場合は、底板外面の腐食を防止する措置を講じます。東京消防庁の運用基準では、アスファルトサンド若しくはアスファルトモルタルの敷設又は底板外面への防食塗装等が示されています。
ステンレス鋼等を使用する場合も、危険物の成分、塩分、水分、異種金属との接触等を考慮し、材質と使用環境をあわせて確認します。
タンク内の圧力は、危険物の注入、払出し、温度変化等によって変動します。通気管は、タンク内部の圧力上昇や負圧を防ぎ、タンクの変形や破損を防止するために設けます。
東京都火災予防条例施行規則では、通気管の内径を20mm以上とし、先端を地上又は床上2m以上の高さに設け、建築物の窓等の開口部又は火を使用する設備等の給排気口から1m以上離すこととされています。
同規則では、先端を雨水が浸入しない構造とし、油が滞留するおそれのある屈曲を設けないこととされています。これらの数値及び仕様は東京都の基準例であり、実際の計画では設置場所の自治体基準を確認します。
通気管に引火防止措置を必要とする危険物の条件は、自治体によって異なります。東京都火災予防条例では、引火点40℃未満の危険物又は引火点以上の状態で貯蔵・取り扱う危険物について、通気管に引火防止措置を講ずることとされています。
東京消防庁の運用基準では、通気管先端に40メッシュ程度の銅網若しくはステンレス網を設ける方法又は同等以上の引火防止性能を有する方法が示されています。網等を設ける場合は、さび、ほこり、虫、塗料等による目詰まりを維持管理上確認します。
圧力タンクには、タンク内部の圧力が異常に上昇することを防ぐ有効な安全装置を設けます。
注入口は、危険物をタンクへ受け入れる際に使用する設備です。注入作業では、危険物の漏れ、誤注入、過注入及び静電気による着火等を防ぐ必要があります。
注入口は、火気使用場所から十分な距離を確保するなど、火災予防上安全な位置へ設けます。東京消防庁の運用基準では、火気使用場所と防火上有効に遮へいされた場所とする取扱いや、引火点40℃未満の危険物を扱う場合に蒸気が滞留するおそれのある場所を避ける取扱いが示されています。
実際の注入作業を計画する際は、車両の停車位置、注入ホースの経路、周囲の通行及び作業者の位置を確認します。これは、法令等の配置基準に加えて確認する作業上の事項です。
注入口には、弁又はふたを設け、使用していないときに確実に閉鎖できる構造とします。
複数の注入口を併設する場合は、危険物の種類、接続先、タンク番号等を容易に識別でき、表示が容易に消えない方法とします。
注入前は、タンク内の残量と受入可能量を確認します。注入口付近から液量確認装置を確認できない場合は、タンク容量へ達したときに警報を発する装置等を注入口付近へ設けます。
複数人で作業する場合は、連絡方法、緊急停止の方法及び弁の操作手順をあらかじめ確認します。
タンクへ接続する配管には、タンク直近の部分に、随時容易に開閉できる弁を設けます。タンク直近の弁は、配管や設備から危険物が漏れた場合に、タンク側からの流出を止めるための設備です。
東京消防庁の運用基準では、注入口又はタンク直近に設ける弁、バルブ、コック等を金属製で、かつ、危険物が漏れない構造とする取扱いが示されています。
弁は、物品や他の配管によって操作を妨げられず、異常時に速やかに閉止できる位置へ設けます。
タンクと配管との接続部には、地震動、地盤沈下、温度変化等による変位が加わります。接続部へ過大な力が加わると、ノズル、溶接部、弁又は配管が損傷するおそれがあります。
東京消防庁の運用基準では、配管結合部の直近へ、耐熱性を有し、地震動等によって容易に離脱しない可撓管継手を設ける方法が示されています。
継手の種類、長さ、配管材質、支持方法、腐食防止及び漏えい点検については、第6章「少量危険物設備の配管・ポンプその他の設備」で説明します。
タンクには、危険物の量を確認できる装置を設けます。液面計は、日常の残量確認、注入前の空き容量確認及び危険物の使用量確認に使用します。
東京都火災予防条例施行規則では、蒸気が容易に発散しない浮子式計量装置、電気式、圧力作動式、アイソトープ利用方式による自動計量装置等が示されています。
同規則では、金属管で保護した硬質ガラス管で、かつ、閉止弁を設けた計量装置も示されています。ただし、ガラス管式計量装置の可否及び条件は自治体によって異なるため、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
注入口付近から液量確認装置を確認できない場合は、注入量がタンク容量に達したときに警報を発する装置等を設けます。東京都火災予防条例施行規則では、音響によって自動的に警報を発する装置とすることとされています。
液面計は、故障、固着、配線不良、表示誤差等によって正しい液量を示さない場合があります。注入前や定期点検時は、液面計の動作と実際の使用量に大きな差がないかを維持管理上確認します。
屋外タンクでは、タンクから漏れた危険物が周囲へ流出することを防ぐため、防油堤、囲い、流出どめその他の流出防止措置を確認します。本ページでは、これらをまとめて「防油堤その他の流出防止措置」と表記します。
防油堤その他の流出防止措置は、タンク本体、弁、ノズルその他の部分から危険物が漏れた場合に、その危険物を一時的に収容し、施設外への拡散を防止するために設けます。必要となる対象数量、構造、材料、容量及び代替措置は、自治体によって異なります。
東京都火災予防条例施行規則では、タンクの周囲にコンクリート等で造られた流出どめを設け、タンクの側板から0.5m以上離すこととされています。
消防庁の消防危第71号(令和2年3月17日)では、タンク周囲に設ける囲いを鉄筋コンクリート製又は鋼板、ステンレス等の金属製とし、タンクの最大容量以上の量を収容できる容量とする考え方が示されています。
同通知では、複数のタンクを一つの囲いに設ける場合、最大容量のタンク以上の量を収容できる容量とし、タンク直近の開閉弁の操作等により複数のタンクから同時に危険物が流出するおそれのないものとする考え方が示されています。
東京消防庁の運用基準では、コンクリートのほか、鋼板等又は鉄筋コンクリートブロックで造る方法、内部の地盤面をコンクリート等の遮油性を有する材料で被覆する方法、弁付き水抜口を設ける方法等が示されています。
タンク外面、弁、ノズル及び防油堤その他の流出防止措置の内面を点検・補修できる配置とし、配管貫通部、継目及び水抜口から危険物が外部へ流出しない構造を確認します。
防火上有効な塀又は建築物の壁を流出防止措置の一部として使用する場合は、その壁等が危険物の流出を有効に防止できる材質、強度及び構造であるかを確認します。
屋外の防油堤その他の流出防止措置には雨水がたまることがあります。雨水が滞留すると有効な収容容量が減少するため、必要な収容容量を確保できる状態に管理します。
水抜口を設ける場合は弁付きとし、通常は閉鎖した状態で管理します。水抜弁を開放したままにすると、タンクから漏れた危険物が施設外へ流出するおそれがあるため、排水後は確実に閉鎖したことを確認します。
排水する前は、水面の油膜、油臭その他の異常及び危険物の混入の有無を確認します。
危険物が混入した水の回収及び処理方法は、危険物の性質、関係法令及び施設の排水条件を確認します。
防油堤その他の流出防止措置のひび割れ、継目、配管貫通部及び水抜口周辺について、漏れや損傷がないかを維持管理上確認します。
危険物を取り扱う設備は、危険物の漏れ、あふれ又は飛散を防止できる構造とします。設備自体で防止できない場合は、受け皿、囲い、停止装置その他の付帯設備を設けます。
危険物の注入、払出し、ろ過、混合等によって静電気が蓄積するおそれがある場合は、接地その他の静電気を有効に除去する措置を講じます。
電気設備は、電気工作物に関係する法令の規定に適合させます。可燃性蒸気が滞留するおそれのある場所では、その場所に適した設備を使用します。
ポンプ、ストレーナ、配管、継手、支持金具及び電気設備等の詳しい構造については、第6章で説明します。
消火設備の要否、種類、能力及び設置数は、消防法第17条の適用関係、建築物の用途及び自治体の条例・指導基準等によって異なります。
東京都火災予防条例では、消防法第17条第1項の適用を受けない少量危険物貯蔵取扱所に、貯蔵し、又は取り扱う危険物に適応する第五種の消火設備を設けることとされています。
消火器等を設ける場合は、火災時に速やかに使用でき、漏えいした危険物又は火炎によって容易に使用できなくならない位置を検討します。屋外では、風雨、直射日光及び腐食の影響も考慮して管理します。
消火設備に関する共通事項は、第2章も参照してください。
屋外の少量危険物貯蔵取扱所には、外部から見やすい位置へ標識及び掲示板を設けます。
標識には、少量危険物貯蔵取扱所である旨を表示します。掲示板には、危険物の類、品名、最大数量及び防火に関し必要な事項を表示します。
表示内容は、実際に貯蔵し、又は取り扱う危険物及び消防への届出内容と一致させます。危険物の種類や最大数量を変更した場合は、届出の要否とあわせて表示内容も確認します。
屋外では、標識や文字が雨水、紫外線、さび等によって読みにくくなることがあります。耐候性及び耐久性のある材質とし、表示状態を維持管理上確認します。
標識・掲示板に関する共通事項は、第2章も参照してください。
少量危険物を屋内タンクに貯蔵し、発電機、ボイラーその他の設備へ供給する場合は、タンク本体だけでなく、屋内の設置場所、床面、開口部、換気設備、流出防止措置、通気設備、注入口、弁、液量確認装置、消火設備などについても確認する必要があります。
火災の拡大防止、危険物の漏えい・流出防止、可燃性蒸気の排出、タンクの強度、地震等による転倒防止、通気及び液量確認などは、屋内タンクを計画する際の基本的な確認事項です。具体的な数値、材料区分、設備方式、適用条件、例外及び容量の考え方は、自治体によって異なります。
実際に計画する際は、配置図、平面図、断面図、タンク図、流出防止措置の構造図、換気・排出設備図、配管系統図等を用意し、製作や工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談してください。
| 確認項目 | 区分・確認箇所 | 少量危険物に関する主な確認内容 |
|---|---|---|
| 設置場所・貯蔵取扱範囲 | 貯蔵・取扱範囲 | 少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う範囲を明確にする。タンク本体だけでなく、注入口、ポンプ、弁その他の危険物を取り扱う設備との関係を確認する。 |
| 設備の配置 | タンク、弁、液量確認装置、配管等の点検及び操作を妨げず、漏えいを早期に確認できる配置とする。複数のタンクや他の危険物設備がある場合は、同一場所として扱う範囲と合計数量を確認する。 | |
| 屋内の設置場所の構造 | 壁・柱・床・天井 | 火災の拡大を防ぐため、設置地域の条例で、対象となる部位と材料区分を確認する。東京都火災予防条例では、壁、柱、床及び天井を特定不燃材料で造り、又は覆うこととされている。 |
| 天井がない場合 | 天井を設けない場合は、はり、屋根等のどの部位まで構造基準の対象となるかを確認する。東京消防庁の運用基準では、はり及び屋根を特定不燃材料で造り、又は覆うものとしている。 | |
| 床面・漏えい回収 | 床の不浸透性 | 液状の危険物を貯蔵し、又は取り扱う部分の床は、危険物が浸透しにくい構造とし、ひび割れ、目地、貫通部等から危険物が浸透又は流出しないようにする。 |
| 傾斜・ためます等 | 漏れた危険物を一か所へ集めて発見・回収できるよう、床の傾斜と、ためますその他の貯留設備を確認する。必要な容量、寸法及び排水方法は自治体によって異なる。 | |
| 出入口・開口部 | 窓・出入口等 | 窓、出入口その他の開口部には、火災の拡大を防ぐため、自治体の基準に応じた防火設備を設ける。東京都火災予防条例では、開口部に防火戸又はドレンチャー設備を設けることとされている。 |
| 換気口・ダクト等 | 換気口、給気口、排出口又はダクトが壁等を貫通する場合は、防火上有効な措置の要否を確認する。東京消防庁の運用基準では、延焼のおそれがある部分等の貫通部に防火上有効なダンパーを設ける例が示されている。 | |
| 採光・照明・換気 | 採光・照明 | 点検、弁操作、液量確認及び漏えい確認を安全に行える明るさを確保する。自然採光と照明設備のどちらを必要とするかは、設置場所と作業内容に応じて確認する。 |
| 換気設備 | 屋内の空気を入れ替え、危険物の蒸気等が滞留しにくい状態を保つため、必要な換気設備を設ける。 | |
| 換気方式 | 自然換気、強制換気その他の方式から、設置場所の広さ、危険物の性状、給気と排気の位置及び設備配置に応じて、有効に空気を置換できる方式を確認する。 | |
| 可燃性蒸気の排出設備 | 設置の要否 | 東京都火災予防条例では、可燃性の蒸気、可燃性のガス又は可燃性の微粉が著しく多量に発生するおそれのある部分に、屋外の高所で、かつ、火災予防上安全な場所へ排出する設備を設けることとされている。具体的な適用条件は自治体によって異なる。 |
| 対象となる条件 | 設備を必要とする危険物の引火点、取扱温度、作業方法等の判断条件は自治体によって異なる。東京消防庁の運用基準では、引火点40℃未満の危険物を貯蔵・取り扱う場合又は引火点40℃以上の危険物を引火点以上の状態で貯蔵・取り扱う場合を、可燃性蒸気が著しく多量に発生するおそれがある場合としている。 | |
| 排出位置・兼用 | 排出口の高さ、開口部等からの離隔及び換気設備との兼用条件は自治体によって異なる。東京消防庁の運用基準では、排出位置の例として地上2m以上、建築物の窓等の開口部及び火を使用する設備等の給排気口から1m以上の離隔を示している。 | |
| タンクと周囲の空間 | 点検・操作空間 | タンク外面、固定部、弁、液量確認装置及び配管接続部を確認し、操作、清掃及び補修を行える空間を確保する。必要な空間は、人が通れるかどうかだけで判断しない。 |
| 具体的な間隔の例 | 具体的な間隔と例外条件は自治体によって異なる。東京都火災予防条例では、タンクと壁又は工作物等との間に原則0.5m以上の間隔を保つこととし、点検等に支障がない場合を例外としている。東京消防庁の運用基準では、この点検に必要な空間の目安をおおむね30cmとしている。 | |
| タンク本体 | 材質・板厚 | タンクは、貯蔵する危険物、容量及び使用条件に対して十分な機械的強度を有する材料で造る。鋼板製タンクの容量別板厚は、第3章「少量危険物の屋外タンクに関する構造・安全基準」を参照し、設置場所を管轄する自治体の基準とも照合する。 |
| 気密構造 | 危険物が漏れないよう気密に造り、溶接部、接合部及び付属品取付部についても漏えいしない構造とする。 | |
| 圧力タンク以外の試験 | 液体危険物用の圧力タンク以外のタンクは、水張試験その他自治体が定める試験方法により、漏れ又は変形がないことを確認する。 | |
| 圧力タンクの試験 | 液体危険物用の圧力タンクの試験条件は自治体によって異なる。東京都火災予防条例では、最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間行う水圧試験により、漏れ又は変形がないことを確認することとされている。 | |
| 基礎・架台・固定 | 基礎・架台 | タンク、危険物及び付属設備の荷重を安全に支持できる堅固な基礎又は架台を設ける。架台に用いる材料区分は自治体によって異なるため確認する。 |
| タンクの固定 | 地震動等によってタンクが移動、転倒、落下又は破損しないよう、基礎又は架台へ確実に固定する。基本的な確認内容は第3章を参照。 | |
| 点検性 | 基礎、架台、固定金具及びアンカーボルトについて、緩み、変形、発錆及び減肉を確認できる構造とする。 | |
| 腐食防止 | タンク外面・固定部 | タンク外面、架台及び固定金具には、材質と設置環境に応じた腐食防止措置を講ずる。屋内であっても、湿気、結露及び床面の水分を考慮する。 |
| 底板外面 | タンク底板が床面又は基礎と接する部分は、腐食の進行と点検方法を考慮し、必要な防食措置を確認する。 | |
| 通気設備・安全装置 | 通気設備 | 通気設備の具体的な方式は、設置地域の条例を確認する。東京都火災予防条例では、圧力タンク以外のタンクに有効な通気管を設けることとされている。 |
| 屋外への導出 | 屋内タンクの通気管は、蒸気を屋内へ放出しないよう、屋外の高所で火災予防上安全な位置へ導くことを基本に確認する。 | |
| 内径・高さ・離隔 | 具体的な内径、先端高さ及び開口部等からの離隔は自治体によって異なる。東京都火災予防条例施行規則では、通気管の内径を20mm以上、先端を地上又は床上2m以上とし、建築物の窓等の開口部又は火を使用する設備等の給排気口から1m以上離すこととされている。 | |
| 先端・配管形状 | 雨水が浸入しにくく、油が滞留するおそれのある屈曲を設けない構造とする。 | |
| 引火防止措置 | 危険物の引火点、取扱温度及び通気設備の方式に応じて、引火防止措置の要否を確認する。 | |
| 例外・安全装置 | 高引火点危険物に関する通気管先端位置の例外や、圧力タンクに設ける安全装置の仕様は自治体によって異なる。東京都火災予防条例では、引火点100℃以上の第四類危険物を100℃未満で貯蔵・取り扱う場合、通気管先端をタンク上部に設けることができるとしている。 | |
| 注入口 | 設置場所 | 注入口は、火気使用場所との位置関係、注入作業時の安全性及び漏えい時の影響を考慮し、火災予防上支障のない場所へ設ける。 |
| 弁又はふた | 注入口には、使用していないときに確実に閉鎖できる弁又はふたを設ける。 | |
| 識別・あふれ防止 | 複数の注入口を設ける場合は、危険物の種類と接続先を識別できる表示とし、注入前にタンクの残量と受入可能量を確認できるようにする。 | |
| 弁・タンク接続部 | タンク直近の弁 | タンクに接続する配管には、異常時にタンク側からの流出を止められるよう、タンク直近の容易に操作できる位置へ開閉弁を設ける。 |
| 弁の材質・構造 | 弁、バルブ、コック等は、取り扱う危険物に適し、漏れない構造とする。具体的な材料指定は自治体の基準を確認する。 | |
| 操作性 | 漏えい等の異常時に速やかに閉止できる位置とし、弁の操作を妨げる物を置かない。 | |
| 地震対策 | 地震動等によって配管とタンクとの結合部分が損傷しない措置を講ずる。可撓管継手等の詳細は、第6章「少量危険物設備の配管・ポンプその他の設備」で説明する。 | |
| 液面又は貯蔵量の確認 | 基本 | タンクの見やすい位置に、危険物の量を安全に把握できる装置を設ける。認められる計量方式は自治体によって異なる。 |
| 計量装置の例 | 東京都火災予防条例施行規則では、蒸気が容易に発散しない浮子式計量装置、電気・圧力作動方式等の自動計量装置、金属管で保護して閉止弁を設けた硬質ガラス管式計量装置等が示されている。 | |
| 注入時の警報 | 警報装置の要否と方式は自治体によって異なる。東京都火災予防条例施行規則では、注入口付近から液量確認装置を確認できない場合、音響によって自動的に警報を発する装置を設けることとされている。 | |
| 流出防止措置 | 基本 | 液体危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋内タンクの周囲には、危険物が漏れた場合に、屋内の他の部分や施設外へ流出することを防ぐ有効な措置を講ずる。 |
| 構造・材質 | 流出防止措置の形状、材質及び接合方法は自治体によって異なる。東京都火災予防条例施行規則では、タンクの周囲にコンクリート等で造られた流出どめを設けることとされ、東京消防庁の運用基準では、金属板又は内側を危険物が浸透しない構造としたコンクリートブロックによるものも認めている。 | |
| タンクとの離隔 | 流出防止措置とタンクとの離隔を定める自治体がある。東京都火災予防条例施行規則では、流出どめをタンクの側板から0.5m以上離すこととされている。 | |
| 収容容量 | 必要な容量と算定方法は自治体によって異なる。東京消防庁の運用基準では、流出どめ内にあるタンクの全容量を収容できる容量とする取扱いが示されている。 | |
| 内部の設備 | 流出防止措置の内部に設けられる設備と配管の範囲、ポンプ設備の位置及び貫通部の処理を確認し、収容機能を妨げない構造とする。東京消防庁の運用基準では、ポンプ設備は原則として流出どめの外へ設けるとしている。 | |
| 配管 | タンク周辺の配管 | 配管は、タンク、弁及び液量確認装置等の点検・操作を妨げず、漏えい時に危険物が屋内の設置範囲外へ拡散しにくい配置とする。 |
| 詳細基準 | 配管の材質、強度、接続、支持・固定、腐食防止、地下埋設及び漏えい確認等の詳細は、第6章で説明する。 | |
| その他の安全設備 | 漏れ・あふれ・飛散防止 | 危険物を取り扱う設備は、危険物の漏れ、あふれ又は飛散を防止できる構造とする。設備自体で防止できない場合は、受け皿、囲い、停止装置その他の付帯設備を検討する。 |
| 静電気対策 | 静電気による災害が発生するおそれのある設備には、静電気を有効に除去する措置を講ずる。 | |
| 電気設備 | 電気設備は、関係法令に適合させる。可燃性蒸気が滞留するおそれがある場所では、設置位置及び機器の構造を確認する。 | |
| 消火設備 | 設置の要否 | 消火設備の要否、種類、能力及び設置数は、危険物の種類と数量、建築物の用途、消防法令の適用及び自治体の条例によって異なるため、個別に確認する。 |
| 東京都の例 | 東京都火災予防条例では、消防法第17条第1項の適用を受けない少量危険物貯蔵取扱所に、貯蔵し、又は取り扱う危険物に適応する第五種の消火設備を設けることとされている。消火設備に関する共通事項は、第2章も参照。 | |
| 標識・掲示板 | 設置位置 | 少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所の見やすい位置に、自治体が定める標識及び掲示板を設ける。 |
| 標識 | 少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所であることが分かる表示とする。標識の名称、寸法、色及び表示方法は自治体によって異なる。 | |
| 掲示内容 | 危険物の類、品名、最大数量及び防火に関し必要な事項を表示する。 | |
| 表示内容 | 実際に貯蔵し、又は取り扱う危険物及び消防への届出内容と一致させる。標識・掲示板に関する共通事項は、第2章も参照。 |
屋内タンクを設置する際は、タンク本体だけでなく、注入口、ポンプ、弁、配管その他の危険物を取り扱う設備を含めて、少量危険物の貯蔵・取扱範囲を確認します。
タンク外面、固定部、弁、液量確認装置及び配管接続部を目視でき、通常の操作、点検及び補修を妨げない配置とします。物品や他の設備によって、弁の操作や漏えい確認ができなくならないようにします。
複数のタンクや他の危険物設備を近接して設ける場合は、同一場所として扱う範囲、危険物の合計数量、設備相互の位置、使用方法及び配管の接続状況を図面に示し、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
屋内の設置場所では、火災の拡大を防ぐため、対象となる部位と材料区分を設置地域の条例で確認します。
東京都火災予防条例では、壁、柱、床及び天井を特定不燃材料で造り、又は覆うこととされています。また、開口部には防火戸又はドレンチャー設備を設けることとされています。材料区分、防火設備の種類及び対象となる開口部は、自治体によって異なります。
換気口、給気口、排出口又はダクトを設ける場合は、壁等の貫通部分から火災が拡大しないよう、防火ダンパーその他の措置の要否を、図面を示して設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
液状の危険物を貯蔵し、又は取り扱う部分の床は、危険物が浸透しにくい構造とし、漏えいした危険物を一か所へ集めて発見・回収できるよう、傾斜と、ためますその他の貯留設備を設けます。
床面だけでなく、壁との取合い、固定金具の周囲、配管の貫通部及び出入口付近についても、危険物が浸透又は流出する経路にならないよう確認します。
ためます等の必要容量、寸法及び排水方法は自治体によって異なります。床のひび割れ、表面材の剥離、ためますの汚れや堆積物は、漏えいの発見と回収を妨げるため、設置後も点検・清掃できる構造とします。
屋内で少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、室内の空気を入れ替えるために必要な換気設備を確認します。給気口と排気口の位置、室内全体の空気の流れ及び設備の運転方法を一体として検討します。
東京都火災予防条例では、可燃性の蒸気、可燃性のガス又は可燃性の微粉が著しく多量に発生するおそれのある部分に、屋外の高所で、かつ、火災予防上安全な場所へ排出する設備を設けることとされています。可燃性蒸気等の滞留を防ぐため、発生箇所と室内の空気の流れを考慮して吸引位置を検討します。
設備を必要とする危険物の引火点、取扱温度、吸引位置、排出口の高さ及び開口部等からの離隔は自治体によって異なります。東京消防庁の運用基準では、対象となる危険物の条件と、排出位置の高さ及び離隔が示されています。
排出設備が換気設備を兼ねる場合は、給気の方法、吸引位置、排出能力、室内全体の空気の流れ及び室温への影響を確認し、兼用を認める条件を設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
タンクの周囲には、タンク外面、固定部、弁、液量確認装置及び配管接続部を確認し、操作、清掃及び補修を行うために必要な空間を確保します。
必要な間隔と例外条件は自治体によって異なります。東京都火災予防条例では、タンクと壁又は工作物等との間に原則0.5m以上の間隔を保つこととし、点検等に支障がない場合を例外としています。東京消防庁の運用基準では、この場合の点検空間の目安をおおむね30cmとしています。
人が通れるかだけで判断せず、タンクの形状、弁や配管の位置、点検方法及び将来の部品交換に必要な作業範囲を示して確認します。
液体危険物用タンクの材質、容量に応じた板厚、気密構造、水張試験又は水圧試験、基礎・架台、固定及び腐食防止に関する基本は、第3章「少量危険物の屋外タンクに関する構造・安全基準」を参照してください。
具体的な試験条件や架台の材料区分は自治体によって異なります。東京都火災予防条例では、液体危険物用の圧力タンクについて、最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間行う水圧試験により、漏れ又は変形がないことを確認することとされています。
屋内であっても、湿気、結露、床面の水分等によって腐食が進行する場合があります。タンク底部、架台との接触部、固定バンドの内側及びアンカーボルト周辺を点検できる構造とします。
タンク、危険物及び付属設備の荷重を安全に支持し、地震動等によってタンクが移動、破損又は転倒しないよう、基礎・架台と固定部を一体として確認します。
圧力タンク以外のタンクには、内部圧力を安全に調整するための通気設備を設けます。通気設備の具体的な方式は、設置地域の条例を確認します。東京都火災予防条例では、有効な通気管を設けることとされています。
屋内タンクの通気管は、蒸気を屋内へ放出しないよう、屋外の高所で火災予防上安全な位置へ導くことを基本に検討します。内径、先端高さ、開口部等からの距離、雨水の浸入防止、滞油防止及び引火防止措置の具体的な仕様は自治体によって異なります。
東京都火災予防条例施行規則では、通気管の内径を20mm以上、先端を地上又は床上2m以上とし、建築物の窓等の開口部又は火を使用する設備等の給排気口から1m以上離すこととされています。
東京都火災予防条例では、引火点100℃以上の第四類危険物を100℃未満で貯蔵・取り扱う場合に限り、通気管先端をタンク上部に設けることができます。該当の判断と先端位置は、危険物の性状及び使用温度を示して確認します。
圧力タンクには、過度の圧力上昇を防止する安全装置を設けます。安全装置の種類、作動圧力及び排出先は、タンクの使用条件と自治体の基準により確認します。
注入口は、火気使用場所との位置関係、注入作業時の安全性及び漏えい時の影響を考慮し、火災予防上支障のない位置へ設けます。注入口には弁又はふたを設け、複数ある場合は、危険物の種類と接続先を識別できる表示とします。
タンクに接続する配管には、異常時にタンク側からの流出を止められるよう、タンク直近の容易に操作できる位置へ開閉弁を設けます。地震動等によってタンクと配管との結合部分が損傷しないようにし、弁及び接続部を点検できる位置へ配置します。
タンクには、危険物の量を安全に把握できる装置を設けます。認められる計量方式と保護方法は自治体によって異なるため、使用する装置の構造を示して確認します。
警報装置の要否と方式は自治体によって異なります。東京都火災予防条例施行規則では、注入口付近から液量確認装置を確認できない場合、音響によって自動的に警報を発する装置を設けることとされています。
屋内タンクの周囲には、危険物が漏れた場合に、屋内の他の部分や施設外へ流出することを防ぐ有効な措置を講じます。
流出防止措置の形状、材質、タンクとの離隔、必要容量、算定方法及び内部へ設けられる設備は自治体によって異なります。
東京都火災予防条例施行規則では、タンクの周囲にコンクリート等で造られた流出どめを設け、タンクの側板から0.5m以上離すこととされています。東京消防庁の運用基準では、金属板又は内側を危険物が浸透しない構造としたコンクリートブロックによるものも認めています。
また、東京消防庁の運用基準では、流出どめ内にあるタンクの全容量を収容できる容量とする取扱いが示されています。必要容量を計算する際は、流出防止部分の内側寸法と高さだけでなく、架台、配管及び付属設備が占める部分も考慮します。
平面図、断面図及び容量計算書に、材質、接合部、貫通部、有効容量、ポンプ設備等の位置を示し、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
配管は、タンク、弁及び液量確認装置等の点検・操作を妨げず、漏えいした危険物が屋内の設置範囲外へ拡散しにくい配置とします。
タンク直近の弁及び地震動等による接続部の損傷防止を除き、配管の材質、強度、接続、支持・固定、腐食防止及び漏えい確認等の詳細は、第6章「少量危険物設備の配管・ポンプその他の設備」で説明します。
危険物を取り扱う設備は、漏れ、あふれ又は飛散を防止できる構造とします。静電気が蓄積するおそれがある設備には、静電気を有効に除去する措置を講じ、電気設備は関係法令に適合させます。
消火設備の要否、種類、能力及び設置数は、危険物の種類と数量、建築物の用途、消防法令の適用及び自治体の条例によって異なります。
東京都火災予防条例では、消防法第17条第1項の適用を受けない少量危険物貯蔵取扱所に、貯蔵し、又は取り扱う危険物に適応する第五種の消火設備を設けることとされています。実際の計画では、建築物に設ける消防用設備等との関係も含めて設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
消火設備に関する共通事項は、第2章も参照してください。
少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所には、見やすい位置へ標識及び掲示板を設けます。標識の名称、寸法、色及び表示方法は自治体によって異なるため、設置地域の様式を確認します。
掲示板には、危険物の類、品名、最大数量及び防火に関し必要な事項を表示します。表示内容は、実際に貯蔵し、又は取り扱う危険物及び消防への届出内容と一致させます。
危険物の種類や最大数量を変更した場合は、届出の要否とあわせて表示内容も確認します。標識・掲示板に関する共通事項は、第2章も参照してください。
屋内タンクの計画では、配置図、平面図、立面図及び断面図のほか、タンク、基礎・架台、流出防止措置、換気・排出設備、通気設備、注入口、配管、液量確認装置、消火設備、標識・掲示板等の仕様が分かる資料を用意します。
図面には、タンクと壁等との間隔、流出防止措置の内側寸法と高さ、ためます、換気口、排出口、通気管先端、注入口、弁及び配管の位置を示します。
流出防止措置については、材質、接合部、貫通部及び有効容量が分かる断面図と容量計算書を用意します。換気設備と可燃性蒸気排出設備を兼用する場合は、給気、吸引、排出の経路及び設備能力が分かる資料も用意します。
自治体によって数値、材料区分、必要な設備、設備方式、適用条件、例外及び取扱いが異なるため、製作や工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
本章でいう「タンク以外での少量危険物の屋内貯蔵」は、消防法上の許可施設である「屋内貯蔵所」を指すものではありません。指定数量未満の危険物を一斗缶、ペール缶、携行缶その他の容器で屋内に貯蔵し、その場所で必要な取扱いを行う場合を対象とします。貯蔵する室の構造、床面、開口部、換気・排出設備、容器、棚・架台、漏えい回収・流出防止、消火設備、標識・掲示板などについて確認する必要があります。
火災の拡大防止、危険物の漏えい・流出防止、可燃性蒸気の滞留防止、地震等による棚・架台の転倒及び容器の落下・破損防止、相互に接触又は混合すると危険な物品の区分などは、屋内で容器を貯蔵する際の基本的な確認事項です。具体的な材料区分、設備方式、適用条件、例外、積み重ね高さ及び消火設備の取扱いは、自治体によって異なります。
実際に計画する際は、配置図、平面図、立面図、断面図、床面・貯留設備図、換気・排出設備図、容器一覧、棚・架台図、固定方法及び消火設備等の資料を用意し、棚・架台の製作や室内工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談してください。
| 確認項目 | 区分・確認箇所 | 少量危険物に関する主な確認内容 |
|---|---|---|
| 設置場所・貯蔵取扱範囲 | 対象範囲 | 容器を置く場所だけでなく、容器の出し入れ、詰替えその他の取扱いを行う場所を含め、少量危険物の貯蔵・取扱範囲を明確にする。 |
| 数量・配置 | 危険物の種類、容器ごとの容量、最大保管数及び最大数量を確認する。複数の室、区画又は設備がある場合は、同一場所として扱う範囲と合計数量を確認する。 | |
| 通路・点検空間 | 容器の搬入・搬出、日常点検、漏えい確認及び初期対応を妨げない通路と作業空間を確保し、出入口、換気口、消火設備等を物品でふさがない配置とする。 | |
| 屋内の貯蔵場所の構造 | 壁・柱・床・天井 | 火災の拡大を防ぐため、設置地域の条例で、対象となる部位と材料区分を確認する。東京都火災予防条例では、壁、柱、床及び天井を特定不燃材料で造り、又は覆うこととされている。 |
| 天井がない場合 | 天井を設けない場合は、はり、屋根等のどの部位まで構造基準の対象となるかを確認する。東京消防庁の運用基準では、天井がない場合のはり及び屋根を対象としている。 | |
| 出入口・開口部 | 窓・出入口等 | 窓、出入口その他の開口部には、火災の拡大を防ぐため、自治体の基準に応じた防火設備を設ける。東京都火災予防条例では、開口部に防火戸又はドレンチャー設備を設けることとされている。 |
| 換気口・ダクト等 | 換気口、給気口、排出口又はダクトが壁等を貫通する場合は、貫通部からの延焼を防ぐ措置の要否を確認する。必要なダンパーの種類、設置位置及び適用条件は自治体によって異なる。 | |
| 床面・漏えい回収 | 床の不浸透性 | 液状の危険物を貯蔵し、又は取り扱う部分の床は、危険物が浸透しない構造とし、ひび割れ、目地、壁との取合い及び貫通部から浸透又は流出しないようにする。 |
| 傾斜・貯留設備 | 漏れた危険物を一か所へ集めて発見・回収できるよう、床の傾斜と、ためますその他の貯留設備を確認する。必要な寸法、容量及び構造は自治体によって異なる。 | |
| 流出経路の遮断 | 出入口、床下、排水口その他の経路から、危険物が室外又は施設外へ流出しない構造を確認する。漏えい受け皿等を併用する場合は、床面・貯留設備の代替として認められるかを確認する。 | |
| 採光・照明・換気 | 採光・照明 | 容器表示、容器の損傷、床面の漏えい、棚・架台の変形等を確認し、安全に搬入・搬出できる明るさを確保する。 |
| 換気設備 | 室内の空気を入れ替え、危険物の蒸気等が滞留しにくい状態を保つため、必要な換気設備を設ける。 | |
| 換気方式 | 自然換気、強制換気その他の方式から、室の広さ、危険物の性状、容器の配置、給気口及び排気口の位置に応じて、有効に空気を置換できる方式を確認する。 | |
| 可燃性蒸気の排出設備 | 設置の要否 | 東京都火災予防条例では、可燃性の蒸気、可燃性のガス又は可燃性の微粉が著しく多量に発生するおそれのある部分に、屋外の高所で、かつ、火災予防上安全な場所へ排出する設備を設けることとされている。具体的な適用条件は自治体によって異なる。 |
| 対象となる条件 | 設備を必要とする危険物の引火点、貯蔵・取扱温度、容器の開放又は詰替えの有無等の判断条件は自治体によって異なる。東京消防庁の運用基準では、引火点40℃未満の危険物を貯蔵・取り扱う場合等を、可燃性蒸気が著しく多量に発生するおそれがある場合としている。 | |
| 排出位置・兼用 | 排出口の高さ、開口部等からの離隔及び換気設備との兼用条件は自治体によって異なる。東京消防庁の運用基準では、排出位置の例として地上2m以上、建築物の窓等の開口部及び火を使用する設備等の給排気口から1m以上の離隔を示している。 | |
| 容器 | 材質・構造 | 容器は、収納する危険物の性質及び使用条件に適した材質とし、容易に破損せず、栓、ふた等が離脱しないものを使用する。 |
| 適合する容器 | 危険物の類別、危険等級、液体又は固体の別等に応じ、消防法令に適合する容器又は同等以上の強度を有すると認められる容器を使用する。 | |
| 密封・漏えい防止 | 温度変化、容器の変形又は栓の緩みによって危険物が漏れないよう、容器を適切に密封し、損傷、腐食、膨れ及び漏えいの有無を確認する。 | |
| 表示 | 法令及び容器の仕様に応じた表示を確認し、収納物と表示を一致させる。 | |
| 棚・架台 | 材料・構造 | 棚・架台は、収納する容器と危険物の総重量を安全に支持でき、地震動等によって座屈又は変形しない構造とする。東京都火災予防条例では、容器を架台で貯蔵する場合、架台を特定不燃材料で堅固に造ることとされている。 |
| 固定・転倒防止 | 戸棚、棚等が容易に傾斜、転倒又は落下しないよう固定し、架台は地震動等により容易に転倒しないよう、基礎、床又は壁等への固定方法を確認する。 | |
| 固定を要しない取扱い | 東京消防庁の運用基準では、容易に傾斜又は転倒しない低く幅広い戸棚等は、固定を要しないものとして扱う例が示されている。具体的な取扱いは自治体によって異なる。 | |
| 耐荷重・固定部 | 危険物を満量にした容器、棚板、受皿等を含む総重量を確認し、棚全体と棚板ごとの許容積載荷重を超えないようにする。固定部は、収納状態で生じる力に耐えられる構造とする。 | |
| 点検性 | 棚板のたわみ、支柱の変形、接合部や固定金具の緩み、腐食及び床・壁側の損傷を確認できる構造とし、フォークリフト、台車、搬入物等が接触しない配置とする。 | |
| 容器の転倒・落下防止 | 前面ガード・落下防止柵 | 容器が前方又は側方へ転落しないよう、有効な前面ガード又は落下防止柵を設ける。東京消防庁の運用基準では、容易にたるむビニールコード、カーテンワイヤー等を使用せず、金属、木板、棒状のもの等を使用する例が示されている。 |
| 柵の高さ | 落下防止柵の高さは、容器の滑動、容器の大きさ及び重心を考慮し、落下防止効果を確認する。 | |
| 滑り止め・仕切り | 容器の転倒、横滑り又は相互の衝突を防ぐため、容器ごとの仕切り、くぼみ、砂箱、棚への固定その他の滑り止めを設ける。 | |
| 奥行き・配置・周囲 | 容器が棚板からはみ出さず安定して置ける奥行きを確保し、重い容器を上段へ集中させない。他の物品が容易に落下するおそれのない場所とし、表示の確認、漏えいの点検及び安全な取り出しを妨げない配置とする。 | |
| 容器の積み重ね | 積み重ねの可否 | 容器を直接積み重ねる場合は、容器の構造、表示された積み重ね性能、危険物の種類及び荷役方法を確認し、荷崩れ、変形又は破損が生じない方法とする。 |
| 高さの確認 | 積み重ね高さと例外条件は自治体によって異なる。東京都火災予防条例では、原則3m以下、第三石油類、第四石油類又は動植物油類のみを積み重ねる一定の場合は4m以下、機械により荷役する構造を有する容器等のみの場合は6m以下とされている。 | |
| 高さの測定 | 東京消防庁の運用基準では、積み重ね高さを床面から最上部の容器上端までの高さとしている。パレット等を使用する場合を含め、測定方法を確認する。 | |
| 危険物以外の物品との区分 | 接触・混合の防止 | 接触又は混合によって発火、発熱、可燃性ガスの発生その他の危険が生じる危険物又は物品は、相互に近接して置かず、区画、距離、受け皿等によって接触・混合を防止する。 |
| その他の物品 | 危険物と直接関係のない物品を置く場合は、避難、搬出、点検、換気及び消火活動を妨げず、火災時に危険を増大させない配置とする。併置できる物品の範囲は自治体によって異なる。 | |
| 貯蔵・取扱いの管理 | 容器の取扱い | 容器をみだりに転倒、落下、衝突又は引きずる等の粗暴な取扱いをせず、運搬時も容器と栓等を損傷しない方法とする。 |
| 漏えい・あふれ・飛散防止 | 危険物が漏れ、あふれ又は飛散しないようにし、漏えいした容器をそのまま保管しない。異常時に使用する回収容器、吸着材等の備えと使用方法を確認する。 | |
| 整理・清掃 | 床、ためます、棚・架台及び通路を整理・清掃し、漏えい、容器の損傷、表示の不一致等を早期に確認できる状態を保つ。 | |
| 消火設備 | 設置の要否 | 消火設備の要否、種類、能力及び設置数は、危険物の種類と数量、建築物の用途、消防法令の適用及び自治体の条例によって異なるため、個別に確認する。 |
| 東京都の例 | 東京都火災予防条例では、消防法第17条第1項の適用を受けない少量危険物貯蔵取扱所に、貯蔵し、又は取り扱う危険物に適応する第五種の消火設備を設けることとされている。消火設備に関する共通事項は、第2章も参照。 | |
| 標識・掲示板 | 設置位置 | 少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所の見やすい位置に、自治体が定める標識及び掲示板を設ける。 |
| 標識 | 少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所であることが分かる表示とする。標識の名称、寸法、色及び表示方法は自治体によって異なる。 | |
| 掲示内容 | 危険物の類、品名、最大数量及び防火に関し必要な事項を表示する。 | |
| 表示内容 | 実際に貯蔵し、又は取り扱う危険物及び消防への届出内容と一致させる。標識・掲示板に関する共通事項は、第2章も参照。 |
本章は、指定数量未満の危険物を一斗缶、ペール缶、携行缶その他の容器で屋内に貯蔵する場合を対象とします。消防法上の許可施設である「屋内貯蔵所」を説明するものではありません。容器の保管だけでなく、その場所で行う容器の出し入れ、詰替えその他の取扱いも含めて、貯蔵・取扱範囲を確認します。
危険物の種類、容器ごとの容量、最大保管数及び計画上の最大数量を明確にします。複数の室、区画又は設備が近接する場合は、同一場所として扱う範囲と合計数量を、配置図と使用方法を示して確認します。
容器の搬入・搬出、日常点検、漏えい時の回収及び初期消火を妨げない通路と作業空間を確保します。出入口、換気口、排出口、ためます、消火設備及び標識・掲示板の前へ物品を置かない配置とします。
屋内の貯蔵場所では、火災の拡大を防ぐため、対象となる部位と材料区分を設置地域の条例で確認します。
東京都火災予防条例では、屋内の少量危険物貯蔵取扱所の壁、柱、床及び天井を特定不燃材料で造り、又は覆い、開口部には防火戸又はドレンチャー設備を設けることとされています。「特定不燃材料」は東京都火災予防条例で用いられる材料区分です。
天井を設けない場合は、はり及び屋根を含めて対象部位を確認します。換気口、給気口、排出口又はダクトが壁等を貫通する場合は、貫通部からの延焼を防ぐ措置の要否を、経路と設置位置を示した図面により確認します。
液状の危険物を貯蔵し、又は取り扱う部分の床は、危険物が浸透しない構造とし、漏れた危険物を一か所へ集めて発見・回収できるよう、傾斜と、ためますその他の貯留設備を設けます。
東京消防庁の運用基準では、危険物が浸透しない構造の例としてコンクリート又は金属板を挙げ、壁、せき、排水溝等と組み合わせて漏れた危険物を容易に回収できる構造とする取扱いが示されています。
床面だけでなく、壁との取合い、目地、固定金具の周囲、配管等の貫通部及び出入口付近についても、危険物の浸透又は流出経路にならないよう確認します。ためます等の必要寸法、容量及び排水方法は自治体によって異なります。
容器ごとの漏えい受け皿、保管トレー等を併用する場合は、その材質、容量及び配置を確認するとともに、床の傾斜や貯留設備に代わる措置として認められるかを、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
屋内で少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、室内の空気を入れ替えるために必要な換気設備を確認します。給気口と排気口の位置、容器及び棚・架台の配置並びに室内全体の空気の流れを一体として検討します。
東京都火災予防条例では、可燃性の蒸気、可燃性のガス又は可燃性の微粉が著しく多量に発生するおそれのある部分に、屋外の高所で、かつ、火災予防上安全な場所へ排出する設備を設けることとされています。設計上のポイントとして、密封した容器を保管する場合でも、容器の開閉、詰替え、漏えい又は温度上昇の可能性を含め、排出設備の必要性を判断します。
設備を必要とする危険物の引火点、貯蔵・取扱温度、吸引位置、排出口の高さ及び開口部等からの離隔は自治体によって異なります。東京消防庁の運用基準では、引火点40℃未満の危険物を貯蔵・取り扱う場合等を対象例とし、排出位置の例として地上2m以上、建築物の窓等の開口部及び火を使用する設備等の給排気口から1m以上の離隔を示しています。
換気設備と可燃性蒸気排出設備を兼用する場合は、給気口と吸引口の位置、給気・吸引・排出の経路及び設備能力を検討し、可燃性蒸気等が滞留する部分を生じさせない配置とします。
容器は、収納する危険物の性質に適した材質とし、容易に破損せず、栓、ふた等が離脱しないものを使用します。危険物の類別、危険等級、液体又は固体の別等に応じ、消防法令に適合する容器又は同等以上の強度を有すると認められる容器であることを確認します。
温度変化、容器の変形又は栓の緩みによって危険物が漏れないよう、容器を適切に密封します。へこみ、亀裂、腐食、膨れ、栓の損傷及び漏えいがある容器は、そのまま棚・架台へ戻さず、安全な方法で移し替え、回収又は処理します。
法令及び容器の仕様に応じた表示を確認し、収納物と表示を一致させます。別容器へ移し替える場合の可否、容器仕様及び表示方法は、危険物の種類と取扱方法を示して確認します。
屋内の貯蔵場所で使用する戸棚、棚、架台及び容器については、第2章で示した共通事項を、実際の容器の種類、収納重量、棚の形状及び室内配置に合わせて具体化します。
第30条第4号
危険物を収納した容器を貯蔵する場合は、地震動等による災害の発生を防止するため、次に掲げる方法により行うこと。
イ 戸棚、棚等は、容易に傾斜し、転倒し、又は落下しないよう固定すること。
ロ 容器の転倒、転落又は破損を防止するため、有効な柵、滑り止め等を設けること。
ハ 他の物品が容易に落下するおそれのない場所に貯蔵すること。
ニ 接触又は混合により発火するおそれのある危険物又は物品は、相互に接近して置かないこと。
第31条の2第1項第4号
危険物を収納した容器を架台で貯蔵する場合は、当該架台を特定不燃材料で堅固に造るとともに、地震動等により容易に転倒しないよう固定すること。
東京消防庁の運用基準では、東京都火災予防条例の「固定」「有効な柵」「滑り止め」について、次のような取扱いが示されています。
また、東京消防庁の運用基準では、「堅固に造る」とは、架台の自重と貯蔵する危険物等の重量に対して十分な強度を有し、地震動等によって座屈しない構造をいい、堅固な基礎、床面又は壁面等へ固定する取扱いが示されています。
棚の固定方法、柵の形状及び滑り止めの具体的な取扱いは、自治体によって異なります。棚の形状、容器の大きさ及び収納重量を示して、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
次の項目は、条例又は運用基準の条文をそのまま示したものではなく、棚を安全に計画し、点検するためにヒイラギが確認を勧める事項です。
名称だけで判断しない
「耐震棚」という名称だけで判断せず、固定方法、落下防止、滑り止め、積載荷重を具体的に見ます。
扉を設ける場合も、扉の名称や方式そのものではなく、閉鎖状態を維持できること、容器の落下を防げること、表示の確認、漏えいの発見及び安全な取り出しを妨げないことを確認します。
容器を直接積み重ねて貯蔵する場合は、容器の構造、表示された積み重ね性能、危険物の種類、パレット等の使用及び荷役方法を確認し、荷崩れ、変形又は破損が生じない方法とします。積み重ね高さと例外条件は自治体によって異なります。
東京都火災予防条例では、容器の積み重ね高さを原則3m以下としています。第四類の第三石油類、第四石油類又は動植物油類のみを積み重ねる一定の場合は4m以下、機械により荷役する構造を有する容器等のみを積み重ねる場合は6m以下とされています。
東京消防庁の運用基準では、積み重ね高さを床面から最上部の容器上端までの高さとしています。容器の強度、積み重ね試験荷重、最大総重量、パレットの安定性及び荷役時の安全性を確認し、法令上の上限だけを理由に高く積み上げないようにします。
接触又は混合によって発火、発熱、可燃性ガスの発生その他の危険が生じる危険物又は物品は、相互に近接して置きません。危険物の性質に応じ、区画、距離、別棚、受け皿等によって、容器の破損や漏えいが生じても接触・混合しない配置とします。
東京都火災予防条例では、接触又は混合により発火するおそれのある危険物又は物品を相互に接近して置かないこととされています。危険物以外の物品についても、接触・混合の危険、避難、点検及び消火活動への影響を踏まえて、保管の可否と配置を判断します。
危険物と直接関係のない物品を置く場合は、通路、出入口、換気、点検、漏えい回収及び消火活動を妨げず、火災時に危険を増大させない配置とします。併置できる物品の範囲は、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
容器は、みだりに転倒、落下、衝突又は引きずる等の粗暴な取扱いをせず、運搬時にも容器と栓等を損傷しない方法とします。容器の出し入れに用いる台車、リフト等と棚・架台の寸法及び通路幅もあわせて確認します。
危険物が漏れ、あふれ又は飛散しないようにし、漏えいした容器をそのまま保管しません。異常時に使用する回収容器、吸着材、保護具等を用意し、回収物の保管・処理方法を事前に定めます。
床、ためます、棚・架台及び通路を片づけ、清掃し、漏えいや容器の損傷を早期に見つけられる状態を保ちます。
危険物の種類、容器、数量、棚・架台又は室内配置を変更する場合は、届出の要否、構造・設備基準への影響及び標識・掲示板の変更を、実施前に確認します。
消火設備の要否、種類、能力及び設置数は、危険物の種類と数量、建築物の用途、消防法令の適用及び自治体の条例によって異なります。室内に設けられている消防用設備等だけで足りるかを含めて確認します。
東京都火災予防条例では、消防法第17条第1項の適用を受けない少量危険物貯蔵取扱所に、貯蔵し、又は取り扱う危険物に適応する第五種の消火設備を設けることとされています。実際の計画では、建築物全体の消防用設備等との関係も含めて設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
消火器等は、火災時に速やかに使用でき、容器、棚・架台又は保管物品によって隠れたり、漏えいした危険物や火炎によって容易に近づけなくなったりしない位置へ設けます。消火設備に関する共通事項は、第2章も参照してください。
少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所には、見やすい位置へ標識及び掲示板を設けます。標識の名称、寸法、色及び表示方法は自治体によって異なるため、設置地域の様式を確認します。
掲示板には、危険物の類、品名、最大数量及び防火に関し必要な事項を表示します。表示内容は、実際に貯蔵し、又は取り扱う危険物、容器一覧及び消防への届出内容と一致させます。
棚・架台や保管物品によって標識・掲示板が見えなくならない位置とし、汚損、退色又は剥がれによって読みにくくならないよう維持します。危険物の種類や最大数量を変更した場合は、届出の要否とあわせて表示内容も確認します。標識・掲示板に関する共通事項は、第2章も参照してください。
タンク以外の容器で少量危険物を屋内に貯蔵する計画では、配置図、平面図、立面図及び断面図のほか、室の構造、開口部、床面・貯留設備、換気・排出設備、容器、棚・架台、消火設備、標識・掲示板等の仕様が分かる資料を用意します。
容器一覧には、危険物の類、品名、性状、指定数量、容器の種類と容量、最大保管数及び最大数量を記載します。使用する製品のSDS、容器仕様書及び表示内容も確認できるようにします。
棚・架台図には、外形寸法、段数、材料、棚板の許容荷重、容器を満たした状態の総重量、固定位置、アンカー又は取付金具、前面ガード、落下防止柵、滑り止め、仕切り等を示します。容器を積み重ねる場合は、積み重ね方法、高さ、容器の積み重ね性能及び荷役方法を示します。
床面・貯留設備図には、床の材質、傾斜、ためます等の位置と寸法、出入口及び貫通部の処理、漏えい時の流れと回収方法を示します。換気・排出設備図には、給気口、吸引口、ダクト、排出口の経路、設備能力及び運転方法を示します。
自治体によって材料区分、必要な設備、設備方式、適用条件、例外、棚・架台の固定方法、積み重ね高さ及び消火設備の取扱いが異なるため、棚・架台の製作、容器の購入又は室内工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
本章では、主として液体の少量危険物をタンク、容器又は使用設備の間で移送する配管、継手、バルブ、ポンプその他の設備を扱います。タンク本体だけが安全であっても、設備全体が安全とは限りません。注油配管、送油配管、返油配管等の系統、配管の材質・強度、接続、支持・固定、腐食防止、地震等による損傷防止、漏えい確認及び流出防止を、一つの設備として確認する必要があります。
配管やポンプの損傷、接合部の緩み、腐食、振動、地盤沈下、誤操作又は異常圧力は、危険物の漏えい及び流出につながります。配管を危険物と使用条件に適合させ、点検できる経路とし、必要な箇所で遮断、逆流防止、圧力監視、静電気除去その他の安全措置を検討することが基本です。具体的な材料、接続方法、試験方法、地下配管の構造、可撓管継手等の仕様及び安全設備の適用条件は、自治体によって異なります。
実際に計画する際は、配置図、配管系統図、配管経路図、機器配置図、配管・継手・バルブ・ポンプの仕様資料、最大常用圧力及び試験条件が分かる資料、支持・固定、腐食防止、地下埋設部、建築物の貫通部、漏えい確認及び流出防止の詳細図等を用意し、配管製作や工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談してください。
| 確認項目 | 区分・確認箇所 | 少量危険物に関する主な確認内容 |
|---|---|---|
| 設備全体・配管系統 | 設備の範囲 | タンク、注入口、配管、継手、バルブ、ポンプ、使用設備、返油設備及び漏えい・流出防止設備の接続関係を明確にする。 |
| 危険物・運転条件 | 危険物の種類、性状、温度、流量、最大常用圧力、移送方法及び運転状態を明確にし、配管・機器の選定条件と一致させる。 | |
| 系統の区分 | 注油、送油、返油、ドレンその他の系統を区分し、危険物の流れ、分岐、合流及び接続先を配管系統図で確認する。 | |
| 配管の材質・強度 | 材質の適合 | 配管は、取り扱う危険物によって容易に劣化せず、温度、圧力及び設置環境に適した材質とする。 |
| 機械的強度 | 自重、危険物の重量、内圧、支持間隔、外力及び施工時に生じる力を考慮し、使用状態で十分な強度を有する配管とする。 | |
| 耐熱性 | 火災等の熱によって容易に変形するおそれがない材質及び配置を確認する。地下その他の熱による悪影響を受けにくい場所に設ける場合の取扱いは、自治体の基準を確認する。 | |
| 耐圧・漏えい試験 | 試験圧力 | 東京都火災予防条例では、配管について、最大常用圧力の1.5倍以上の圧力で水圧試験(水以外の不燃性の液体又は不燃性の気体を用いる試験を含む)を行い、漏えいその他の異常がないこととされている。 |
| 試験範囲 | 危険物が通過し、又は滞留する配管、継手、バルブ等のうち、どの範囲を接続した状態で試験するかを確認する。 | |
| 試験方法・記録 | 試験媒体、試験圧力、保持方法、確認箇所及び結果を記録する。具体的な試験方法と確認書類は、自治体によって異なる。 | |
| 配管の接続方法・継手 | 接続方法 | 溶接、ねじ込み、フランジ、接着その他の接続方法は、配管材、危険物、圧力、温度、振動及び点検方法に適合させる。 |
| 継手・シール材 | 継手、ガスケット、パッキン、シール材等は、危険物への耐性、耐圧性、耐熱性及び交換性を確認する。 | |
| 接合部の点検 | 漏えいが生じやすい接合部は、目視、増し締め、部品交換その他の点検を行える位置とする。 | |
| 支持・固定 | 支持間隔・支持方法 | 配管のたわみ、振動及び接合部への集中荷重を防ぐため、配管径、材質、重量及び経路に応じた支持・固定方法を確認する。 |
| バルブ・機器の荷重 | バルブ、ストレーナーその他の重量物を配管だけで支えず、必要に応じて独立した支持を設ける。 | |
| 熱伸縮・変位 | 温度変化による伸縮、機器の振動及び建築物の変位を見込み、支持点、固定点及び変位を吸収する部分を計画する。 | |
| 地震・振動・地盤沈下等による損傷防止 | タンク接続部 | タンクと配管の結合部に地震動等による力が集中しないよう、変位を吸収する措置と、その機能を妨げない支持・固定を確認する。 |
| ポンプ・機器接続部 | ポンプ、発電機、ボイラーその他の機器から生じる振動を配管へ過度に伝えない接続及び支持方法を確認する。 | |
| 地盤・構造物の変位 | 地上部と地下部の境界、建築物間、エキスパンションジョイント付近その他の相対変位が生じる箇所では、沈下、揺れ及び変位による損傷を防止する。 | |
| 腐食防止 | 地上配管 | 屋外、湿気、結露、薬品、塩分等の設置環境を確認し、塗装、材質選定その他の外面腐食防止措置を講じる。 |
| 地下配管 | 土壌、水分及び迷走電流等による腐食を考慮し、塗覆装、コーティング、電気防食その他の必要な措置を確認する。 | |
| 点検・補修 | 腐食しやすい支持部、接触部、地際、ピット内、保温材下等を点検でき、必要な補修を行える構造とする。 | |
| 地上配管 | 配置・点検空間 | 配管、継手、バルブ及び支持部を点検し、操作、清掃、補修及び交換を行える経路と空間を確保する。 |
| 外力・熱の影響 | 車両、台車、搬入物、積雪、落下物、火気使用設備及び高温部等から受ける外力又は熱の影響を防止する。 | |
| 通路・作業場所 | 通路を横断する箇所、低い位置、作業場所周辺等では、人の接触、つまずき及び作業による損傷を防ぐ配置又は保護を行う。 | |
| 地下埋設配管 | 接合部の点検 | 地下に設ける接合部は、漏えいを点検できる点検箱、ピットその他の構造とする。溶接等による接合部の取扱い及び代替措置は、自治体によって異なる。 |
| 上部荷重の保護 | 車両、舗装、埋戻し土その他の上部荷重が配管へ直接作用しないよう、埋設深さ、ピット、保護構造等を確認する。 | |
| 漏えい確認 | 目視できない区間は、二重配管、検知設備、点検口、試験その他の方法により、漏えいを早期に確認できる構造を検討する。 | |
| 建築物の貫通部・隠ぺい部 | 壁・床の貫通部 | 壁、床、防火区画等を配管が貫通する箇所は、配管の変位、延焼防止、防水及び危険物の流出経路を考慮して処理する。 |
| 隠ぺい部 | 天井内、床下、壁内その他の隠ぺい部へ配管を設ける場合は、接合部の配置、点検口、漏えいの発見方法及び交換方法を確認する。 | |
| 異なる構造の境界 | 屋内と屋外、地上と地下、別棟間等の境界では、支持条件、腐食環境及び相対変位の変化を考慮する。 | |
| 配管の識別 | 危険物・用途 | 配管の内容物及び用途を識別できる表示とし、注油、送油、返油その他の系統を取り違えないようにする。 |
| 流れ方向 | 必要な箇所に流れ方向を表示し、通常運転、注油、停止及び緊急時の操作を確認しやすくする。 | |
| 表示の維持 | 塗装、ラベル、銘板等の表示方法を定め、汚損、退色、保温施工又は配管変更後も識別できるよう維持する。 | |
| バルブ・逆止弁等 | タンク直近の弁 | 東京都火災予防条例では、タンクの配管のタンク直近部分に、随時容易に開閉できる弁を設けることとされている。 |
| 位置・操作 | 通常操作及び緊急遮断を安全に行え、漏えい、火炎又は障害物によって容易に近づけなくならない位置を確認する。 | |
| 逆流・誤操作防止 | 逆流によるあふれ、別系統への流入又は誤操作を防ぐため、逆止弁、弁の施錠、開閉表示その他の措置の要否を確認する。 | |
| ポンプその他の機器 | 据付・固定 | ポンプ、ストレーナー、計器その他の機器は、重量、振動、保守及び配管反力を考慮して据え付け、必要な固定を行う。 |
| 漏えい・飛散防止 | 危険物を取り扱う機器は、漏えい、あふれ又は飛散を防ぐ構造とし、必要に応じて受け皿、囲い、検知、停止等の附帯設備を設ける。 | |
| 圧力・異常停止 | 圧力上昇のおそれがある設備は、圧力の確認、安全装置及び異常時の停止方法を検討する。適用条件と具体的な設備は自治体によって異なる。 | |
| 電気・静電気 | 電気設備は設置環境に適合させ、静電気が蓄積するおそれがある設備では、危険物の性状及び取扱方法に応じた静電気除去措置を確認する。 | |
| 注油・送油・返油配管 | 注油配管 | 注入口からタンクまでの経路、勾配、弁、接続方法及びあふれ防止設備との関係を確認する。 |
| 送油配管 | ポンプの吐出量及び圧力、使用設備の必要流量、分岐、逆流及び停止時の残油を把握し、バルブ操作の手順を定める。 | |
| 返油配管 | 返油が必要な設備では、返油量、背圧、接続先、タンク液面及び返油によるあふれを考慮し、安全に戻る系統とする。 | |
| 漏えいの確認 | 目視点検 | 継手、バルブ、ポンプ軸封部、計器接続部、ドレン部等を見やすくし、にじみ、滴下、腐食及び異常の有無を点検できる構造とする。 |
| 見えない区間 | 地下、隠ぺい部、保温材下その他の目視しにくい区間は、点検口、検知、試験、二重化等による漏えいの発見方法を計画する。 | |
| 運転・停止時 | 運転時だけでなく、停止時、注油時、圧力変動時及び長期間使用しない期間に漏えいが生じる箇所を想定し、点検方法を定める。 | |
| 配管から漏れた場合の流出防止 | 受け皿・囲い等 | ポンプ、バルブ群、継手集中部その他の漏えいのおそれがある箇所では、受け皿、囲い、床の傾斜、貯留設備等による回収方法を確認する。 |
| 遮断・停止 | 漏えい時に危険物の供給を速やかに止められるよう、遮断弁、ポンプ停止、インターロックその他の方法を検討する。 | |
| 流出経路 | 排水口、床下、建築物の貫通部、敷地外その他への流出経路を確認し、タンクの流出防止措置及び室内の貯留設備と整合させる。 |
法令等の基準と設計上の確認事項
出典を示した内容は法令等の基準例です。出典のない支持・固定、点検性、機器配置等は設計上の確認事項です。
配管は、タンクと使用設備をつなぐ付属品ではなく、継手、バルブ、ポンプ、計器及び安全設備を含む移送設備です。タンク本体、注入口、ポンプ、使用設備及び返油先までの範囲を一つの系統として見渡し、危険物がどこを通り、どこに滞留し、どこで遮断できるかを確認します。
計画の最初に、危険物の類・品名・性状、温度、計画流量、最大常用圧力、自然流下又はポンプ移送、連続運転又は間欠運転の運転条件を明確にします。これらは、配管材、口径、継手、バルブ、ポンプ及び試験条件を決める前提になります。
配管系統図には、注油、送油、返油、ドレンその他の系統、流れ方向、分岐・合流、弁、ポンプ、計器、使用設備及びタンクとの接続関係を示します。実際の構成は、設備の用途及び自治体の基準に応じて確認します。
使用できる配管の材質と条件は、設置地域の条例、製品の性能評価資料及び使用条件を照合して判断します。金属管、合成樹脂管、強化プラスチック管等は、それぞれ使用できる条件、接続方法及び施工管理が異なるため、製品仕様書、性能評価資料等を確認します。規格名、材質名又は呼び径だけで判断せず、計画する配管が実際の危険物と使用条件に適合することを照合します。
東京都火災予防条例では、危険物を取り扱う配管について、設置条件及び使用状況に照らして十分な強度を有し、取り扱う危険物により容易に劣化せず、火災等の熱によって容易に変形するおそれがないものとすることが定められています。熱の影響を受けにくい場所に設ける場合の例外を含め、対象条件は原資料と計画内容を照合します。
同条例では、最大常用圧力の1.5倍以上の圧力で水圧試験を行い、漏えいその他の異常がないこととされています。水以外の不燃性の液体又は不燃性の気体を用いる試験も含まれます。東京消防庁の運用基準では、原則として配管をタンク等へ接続した状態で行い、危険物が通過し、又は滞留する全ての配管を試験対象とする取扱いが示されています。
自然流下配管、ポンプ吐出配管、返油配管等では最大常用圧力の考え方が異なります。設計圧力、ポンプの最大吐出圧力、静液頭、弁閉止時の圧力等の算定根拠を示し、試験媒体、試験圧力、試験範囲及び結果を記録します。具体的な試験方法及び提出書類は、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認します。
配管の接続方法は、配管材、危険物の性状、圧力、温度、振動、施工場所及び将来の分解・交換の必要性に応じて選びます。溶接、ねじ込み、フランジ、接着その他の方式を、条件を確認せずに混在させないようにします。
継手、ガスケット、パッキン及びシール材は、危険物への耐性、耐圧性、耐熱性及び経年変化を確認します。異なる材質を接続する部分では、接続部の強度、電気的腐食、熱伸縮の差及びメーカーが指定する施工方法も確認します。
接合部は、漏えいの有無を確認し、必要に応じて増し締め又は部品交換を行える位置とします。地下、天井内、壁内、保温材下等へ接合部を設ける場合は、点検口、ピット、漏えい検知その他の点検方法を、施工前に明確にします。
配管の支持・固定は、配管の自重だけでなく、内部の危険物、バルブ、ストレーナー、計器等の重量、内圧、振動及び施工時の荷重を考慮します。支持間隔が過大で配管がたわむと、継手や機器接続部へ力が集中し、漏えい又は破損の原因になります。
重量のあるバルブ、ストレーナーその他の機器は、必要に応じて独立して支持し、配管だけへ荷重を負担させないようにします。支持金具、架台及びアンカーは、設置する壁、床又は構造体の強度と、点検・交換の作業範囲を確認して選定します。
温度変化による配管の伸縮、ポンプや使用設備の振動、建築物の揺れ及び構造物間の変位を見込み、固定点、支持点及び変位を吸収する部分を計画します。変位を吸収する継手を設けても、その前後を過度に固定すると機能を妨げるため、支持方法を一体で確認します。
タンク、ポンプ、建築物及び地盤は、地震時に同じ動きをするとは限りません。異なる揺れや沈下が配管へ伝わると、タンク接続部、機器接続部、地上部と地下部の境界等へ力が集中します。損傷防止は、継手だけでなく、配管経路、支持・固定及び機器配置を含めて検討します。
東京都火災予防条例では、タンクの配管について、地震動等により配管とタンクとの結合部分に損傷を与えないための措置を講じることとされています。東京消防庁の運用基準では、配管結合部の直近に、耐熱性を有し、地震動等により容易に離脱しない可撓管継手を設ける方法等が示されています。
可撓管継手等の種類、長さ、変位量及び適用できる配管径は、自治体の基準、製品仕様及び計画条件によって異なります。タンクから変位吸収部までの支持がその機能を妨げないこと、ポンプ等の振動を吸収できること、地盤沈下又は建築物間の相対変位に追従できることを確認します。
配管の腐食は、肉厚の減少、孔食、接合部の固着及び支持部の破損につながります。屋外の雨水、塩分、薬品、湿気、結露、土壌、水分、迷走電流等を確認し、材質選定、塗装、塗覆装、コーティング、電気防食その他の方法を検討します。
東京都火災予防条例では、配管の外面腐食を防止する措置を講じることとされています。東京都火災予防条例施行規則では、地上配管は外面の腐食を防止する塗装、地下配管は塗覆装又はコーティングを行うこととされています。腐食するおそれがない材質又は設置条件における取扱いは、原資料と計画条件を照合します。
支持金具との接触部、保温材の下、地際、壁・床の貫通部、ピット内及び水がたまりやすい部分は、外観から腐食を見つけにくい箇所です。点検できる構造とし、塗膜の傷、被覆の損傷、異種金属接触及び水分の滞留を確認します。
地上配管は、継手、バルブ、支持部等を見やすくし、漏えい確認、操作、清掃、補修及び交換を行える経路とします。壁際、床際、機器の背面等へ配置する場合も、工具を使用する範囲と部品を取り外す方向を考慮します。
車両、フォークリフト、台車、搬入物、落下物、積雪その他の外力を受けるおそれがある箇所では、配置変更、ガード、架台、ピット等による保護を検討します。火気使用設備、高温部又は火災時の熱の影響を受ける場所では、離隔、遮へい又は配管材の適合を確認します。
通路を横断する配管、低い位置の配管及び作業場所周辺の配管は、人の接触、つまずき及び作業による損傷を防ぐ配置又は保護とします。配管を保護する構造物自体が、弁操作や漏えい確認を妨げないようにします。
地下埋設配管は、漏えいを直接見ることが難しく、腐食、接合部の異常、地盤沈下及び上部荷重の影響を受けます。配管材、埋設経路、接合部、腐食防止、荷重保護及び漏えい確認方法を、地上配管とは分けて検討します。
東京都火災予防条例では、地下配管の接合部分を、漏えいを点検できるふた付きのコンクリート造等の箱へ納めることとされています。ただし、溶接その他の漏えいのおそれがないと認められる接合又は漏えいを容易に点検できる代替措置に関する規定があります。東京都火災予防条例施行規則では、点検箱について、点検に必要な大きさと深さを確保し、漏れた危険物が地下へ浸透しない措置を講じることとされています。
東京消防庁の運用基準では、漏えいを容易に点検できる措置の例として、地下埋設配管を二重配管とし検知装置を設ける方法が示されています。採用できる方法、検知方式及び代替措置は、自治体によって異なります。
同条例では、地下配管に上部の地盤面にかかる重量が作用しないよう保護することとされています。埋設深さ、舗装、コンクリートピット、埋戻し材及び車両荷重等を示した断面図により確認します。地下埋設配管の具体的な施工寸法は、配管材、設置場所及び自治体の基準に応じて決定します。
壁、床、防火区画等を配管が貫通する箇所では、配管の変位、貫通部からの延焼、防水及び危険物の流出経路を確認します。消防関係基準だけでなく、建築物の防火区画、構造及び設備に関する基準との整合が必要になる場合があります。
貫通部をモルタル、耐火材、シール材等で処理する場合は、配管材との適合、熱伸縮、点検及び交換方法を確認します。配管を強固に拘束することで地震時の力が集中しないよう、支持位置と変位吸収部の関係も確認します。
天井内、床下、壁内その他の隠ぺい部では、接合部をできるだけ点検しやすい位置へ集約し、必要な点検口、漏えいの発見方法及び交換経路を設けます。屋内と屋外、地上と地下、別棟間等の境界は、腐食環境と支持条件が変わる箇所として確認します。
配管の内容物、用途及び流れ方向を識別できるようにし、注油配管、送油配管、返油配管等を取り違えないようにします。表示方法、色、文字、矢印及び表示位置は、施設内の表示ルールと自治体の指導を確認します。
東京都火災予防条例では、タンクの配管のタンク直近部分に、随時容易に開閉できる弁を設けることとされています。東京消防庁の運用基準では、注入口又はタンク直近に設ける弁を、金属製で漏れない構造とする取扱いが示されています。
バルブは、通常運転、注油、点検及び緊急時に安全に操作できる位置とし、開閉状態と機能を識別できるようにします。逆流、別系統への流入又は誤操作のおそれがある場合は、逆止弁、弁の施錠、開閉表示、操作手順その他の措置を検討します。
緊急遮断に使用する弁は、漏えいした危険物、火炎、障害物等によって容易に近づけなくならない位置とします。自動弁又は遠隔操作弁を用いる場合は、停電時及び故障時の状態、手動操作及び作動確認方法も定めます。
ポンプ、ストレーナー、計器その他の機器は、配管系統の圧力、流量及び危険物の性状に適合させます。据付部は、重量、振動、配管反力及び保守作業を考慮し、必要な基礎、架台又は固定を設けます。
東京都火災予防条例では、危険物を取り扱う機械器具その他の設備を、危険物の漏れ、あふれ又は飛散を防止できる構造とすることとされています。附帯設備によって災害を防止する場合の規定もあります。ポンプ軸封部、フランジ、ドレン及び計器接続部等の漏えい箇所を想定し、受け皿、囲い、検知、停止等の必要性を確認します。
同条例では、危険物を加圧する設備又は圧力が上昇するおそれのある設備に、圧力計及び有効な安全装置を設けることとされています。ポンプの締切運転、弁の誤閉止、温度上昇等による異常圧力を想定し、圧力の確認、逃がし、安全停止及び警報の要否を検討します。
静電気が蓄積するおそれがある設備では、危険物の性状及び取扱方法に応じた静電気除去措置を確認します。電動機、制御盤、センサーその他の電気設備は、可燃性蒸気の発生・滞留のおそれ、設置場所及び電気設備に関する法令を踏まえて選定します。
注油配管は、注入口からタンクまで危険物が確実に流れ、途中で滞留、漏えい又は逆流しない経路とします。注入口の弁、接続方法、配管勾配、タンクの通気及び液量確認・警報との関係を一体で確認します。
送油配管は、ポンプの吐出量及び圧力と、発電機、ボイラーその他の使用設備が必要とする流量・圧力を照合します。分岐、合流、逆流及び停止時の残油を把握し、バルブ操作の手順を定め、異常時に供給を止められる構成とします。
返油配管を設ける場合は、最大返油量を安全に戻せる容量、背圧、接続先及びタンク液面を確認します。返油先を誤ること、返油配管の閉塞又は弁の誤閉止によって圧力が上昇すること、返油によってタンクがあふれることを防ぐ構成とします。
注油、送油及び返油を複数のタンク又は設備で共用する場合は、弁操作、逆流、誤接続及び同時運転の影響を配管系統図と操作手順により確認します。複数タンクの貯蔵場所の扱いについては、第1章も参照してください。
漏えいは、継手、バルブ、ポンプ軸封部、計器接続部、ドレン部、腐食部及び振動が集中する部分で生じるおそれがあります。これらを見やすくし、にじみ、滴下、変色、腐食、異臭及び圧力変化等の異常を点検できる構造とします。
地下、隠ぺい部、保温材下その他の目視しにくい区間は、点検口、二重配管、漏えい検知設備、圧力試験その他の点検方法を計画します。運転時だけでなく、停止時、注油時、圧力変動時及び長期間停止後の点検方法も定めます。
配管又はポンプから漏れた危険物を周囲へ広げないため、漏えいのおそれがある箇所の下部に、受け皿、囲い、床の傾斜、ためますその他の回収設備を検討します。危険物の性状、想定漏えい量、排水口、床下、貫通部及び敷地外への流出経路を確認します。
漏えい時に危険物の供給を速やかに止められるよう、遮断弁、ポンプ停止、インターロック、警報等の要否を確認します。配管周辺の流出防止は、屋外タンクの防油堤その他の流出防止措置、屋内タンクの流出防止措置又は屋内貯蔵場所の床面・貯留設備と整合させます。
配管・ポンプその他の設備の計画では、配置図、配管系統図、平面図、立面図及び必要な断面図を用意します。配管系統図には、タンク、注入口、配管、継手、バルブ、ポンプ、計器、使用設備、返油先、ドレン、流れ方向及び系統の区分を示します。
配管仕様資料には、危険物の種類、配管材、口径、接続方法、設計温度、最大常用圧力、流量、支持・固定方法、防食方法及び識別方法を記載します。継手、可撓管継手、バルブ、逆止弁、ストレーナー、ポンプ、圧力計、安全装置、漏えい検知設備等の仕様書も用意します。
耐圧・漏えい試験については、最大常用圧力の算定根拠、試験範囲、試験媒体、試験圧力、点検方法及び記録様式を用意します。地下埋設配管は、埋設経路、深さ、接合部の点検構造、上部荷重の保護、腐食防止及び漏えい点検方法が分かる図面を用意します。
建築物の貫通部、隠ぺい部、地上・地下の境界、タンク・ポンプ接続部及び変位吸収部は、支持・固定とあわせた詳細図を用意します。ポンプ周辺及び継手集中部については、想定漏えい箇所、受け皿・囲い等の容量と経路、遮断・停止方法及び電気・静電気対策を示します。
配管の材質、接続方法、試験方法、支持・固定、腐食防止、地下配管、可撓管継手等の仕様、ポンプ周辺の安全設備及び漏えい・流出防止の取扱いは自治体によって異なります。機器の発注、配管製作又は現地工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ確認してください。
少量危険物を安全に使用するためには、設備を計画して設置するまでの手続きだけでなく、使用開始前の確認、設置後の維持管理、変更・廃止時の手続き及び火災・漏えい時の対応までを、一連の流れとして捉えることが重要です。本章では、第3章から第6章までで説明した屋外タンク、屋内タンク、タンク以外での屋内貯蔵、配管・ポンプその他の設備に共通する手続きと管理を扱います。
新設、変更又は廃止に関する届出の名称、対象、提出期限、提出先、必要書類、消防による確認方法及び使用開始前の検査の有無は、自治体によって異なります。施設の位置・構造・設備だけでなく、危険物の類・品名・最大数量、同一の場所として扱う範囲、貯蔵・取扱方法及び使用条件も、届出内容と実際の状態を一致させることが重要です。
実際に計画する際は、危険物の資料、数量計算、配置図、構造図、設備図、配管系統図、機器仕様書等を準備し、設備の発注、製作又は工事を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談してください。使用開始後も、日常点検、異常時の連絡、変更時の事前確認及び記録の方法を定め、設備の状態と運用を継続して点検・管理します。
| 確認項目 | 区分・確認時期 | 少量危険物に関する主な確認内容 |
|---|---|---|
| 計画・事前相談 | 対象範囲 | 危険物の類・品名・性状、指定数量、最大数量、同一の場所として扱う範囲及び設置区分を明確にする。 |
| 相談時期 | 設備の発注、製作、建築・設備工事又は運用変更を始める前に、計画内容を設置場所を管轄する消防本部・消防署へ示す。 | |
| 相談資料 | 配置、構造、設備、数量、貯蔵・取扱方法及び安全措置が分かる図面・仕様資料を用意する。 | |
| 新設時の届出 | 届出対象 | 少量危険物を新たに貯蔵し、又は取り扱う場所を設ける場合に必要となる届出を確認する。 |
| 届出時期 | 提出期限の起算日が、設置日、工事着手日又は貯蔵・取扱開始日のいずれであるかを確認する。 | |
| 提出先・方法 | 設置場所を管轄する消防本部・消防署、提出部数及び窓口・郵送・電子申請等の方法を確認する。 | |
| 届出の添付図書 | 位置・配置 | 案内図、配置図、平面図、立面図、断面図等により、敷地、建築物、設備及び周囲の状況を示す。 |
| 危険物・数量 | 危険物の類・品名・性状・指定数量・最大数量、数量計算、容器又はタンクの容量等を示す。 | |
| 構造・設備 | タンク、容器、棚・架台、配管、ポンプ、換気・排出設備、流出防止措置、消火設備等の図面・仕様書を添付する。 | |
| 消防による内容確認 | 届出書の照合 | 届出者、設置場所、危険物、数量、貯蔵・取扱方法その他の記載内容を照合する。 |
| 基準適合の審査 | 位置、構造、設備及び貯蔵・取扱方法が、設置地域の条例等の基準に適合するか審査される。 | |
| 追加資料・修正 | 図面又は説明が不足する場合に備え、設計変更、資料追加及び回答の窓口を明確にする。 | |
| 使用開始前の検査・確認 | 対象・名称 | 消防による検査、現地確認、完成確認等の有無と名称は自治体によって異なるため、届出時に確認する。 |
| 実物との照合 | 届出図面と実際の位置、構造、設備、危険物の種類及び最大数量が一致していることを照合する。 | |
| 試験・作動確認 | タンク、配管、ポンプ、換気・排出設備、警報、遮断、消火設備等について、必要な試験結果と作動状況を照合する。 | |
| 変更時の事前確認・届出 | 変更内容 | 危険物の類・品名・数量、容器・タンク、配置、構造、配管、機器、貯蔵・取扱方法又は使用条件の変更点を洗い出す。 |
| 届出の要否 | 変更届が必要か、軽微な変更として扱われるか、別の手続きが必要かを工事又は運用変更の前に確認する。 | |
| 変更後の確認 | 変更図面、仕様書及び試験結果をそろえ、届出内容と変更後の実際の状態を一致させる。 | |
| 廃止時の届出・安全措置 | 廃止届 | 貯蔵又は取扱いを廃止した場合の届出時期、様式、提出先及び添付資料を確認する。 |
| 残存危険物 | タンク、容器、配管、ポンプ、受け皿、ためます等に残る危険物を安全に回収し、適正に処理する。 | |
| 設備の処置 | 誤注入、誤使用、蒸気の滞留又は残油の漏えいが生じないよう、閉止、洗浄、撤去等の方法を確認する。 | |
| 日常点検・維持管理 | 貯蔵量・表示 | 実際の危険物、数量、容器・タンクの表示、標識・掲示板及び届出内容が一致していることを確認する。 |
| タンク・容器・棚 | 腐食、変形、亀裂、漏えい、固定部の緩み、棚・架台の損傷及び容器の転倒・落下防止措置を点検する。 | |
| 配管・ポンプ等 | 継手、バルブ、ポンプ、通気、換気、排出、漏えい検知、流出防止及び消火設備の異常の有無を点検する。 | |
| 点検方法・記録 | 点検時期 | 設備の種類、使用頻度、設置環境、経過年数及び過去の異常を考慮して、点検項目と実施時期を定める。 |
| 点検記録 | 点検日、点検者、点検箇所、異常の有無、補修内容及び再点検結果を記録し、変更・修繕履歴とあわせて管理する。 | |
| 異常時の処置 | 腐食、緩み、破損、詰まり、漏えい、作動不良等が見つかった場合は、安全を確保して使用を停止し、補修と再点検を行う。 | |
| 使用条件・運用の変更 | 危険物・数量 | 危険物の種類、製品、濃度、水溶性、最大数量又は在庫方法を変更する場合は、SDSと数量区分を再判定する。 |
| 運転・取扱方法 | 注油方法、送油量、運転圧力、使用温度、取扱工程、容器の開閉・詰替え等を変更する場合は、設備条件との適合を照合する。 | |
| 再開・長期停止 | 長期間停止した設備又は修繕した設備を再使用する場合は、漏えい、腐食、弁の状態、試験及び安全設備の作動を点検する。 | |
| 火災・漏えい時の初動 | 通報・避難 | 火災、負傷者の発生、急速な漏えい、周囲への流出又は危険が切迫している場合は、119番へ通報し、周囲への連絡及び必要な避難を行う。その他の異常についても、施設の緊急時手順に従い、必要に応じて消防本部・消防署へ連絡する。 |
| 供給停止・流出拡大防止 | 安全に実施できる場合に限り、ポンプ停止、弁閉止、火気停止、受け皿・吸着材等による流出拡大防止を行う。 | |
| 情報提供 | 危険物の品名、数量、SDS、発生場所、設備系統、漏えい量、火気・排水口の状況等を消防隊及び関係者へ伝える。 | |
| 事故後の確認・使用再開 | 原因・影響範囲 | 漏えい箇所、原因、流出経路、土壌・排水・建築物への影響及び損傷した設備を特定する。 |
| 補修・処理 | 危険物、汚染物、吸着材、回収液等を適正に処理し、設備の補修、交換、洗浄及び必要な試験を行う。 | |
| 再開判断 | 事故原因への対策、届出又は変更手続き、消防への報告・相談及び安全設備の作動点検を終えてから使用を再開する。 | |
| 無届・基準不適合への対応 | 事実確認 | 届出の有無、届出内容、現在の危険物・数量・設備及び基準不適合の範囲を明確にする。 |
| 使用停止・是正 | 危険がある場合は使用を停止し、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談して、届出、数量調整、補修、改修その他の是正方法を協議する。 | |
| 再発防止 | 変更管理、点検、記録、社内連絡及び担当者の役割を見直し、無届変更又は不適合状態の再発を防ぐ。 |
条例等の手続きと設計・管理上の推奨事項
東京都の条例・施行規則に基づく基準例と、設計・維持管理上の推奨事項を分けて記載しています。
少量危険物に関する手続きは、届出書を提出して終わるものではありません。計画内容を消防へ相談し、必要な届出と図書を提出し、消防による内容確認を受け、工事又は設置後の確認を経て使用を開始します。使用開始後は、届出内容と実際の状態を一致させ、点検・補修を続けます。
設備又は運用を変更するときは、変更内容を実施する前に届出の要否を確認します。廃止するときは、残存危険物と可燃性蒸気を安全に処理し、必要な届出を行います。火災又は漏えいが発生した場合は、通報、避難、供給停止及び流出拡大防止を、安全に実施できる範囲で行います。
少量危険物を新たに貯蔵し、又は取り扱う場合は、計画する最大数量と「同一の場所」として扱う範囲を確認し、設置地域の条例に基づく届出の対象となるかを判断します。危険物の平均在庫ではなく、納品時、容器交換時、返油又は廃油の一時保管等を含め、計画上予定する最大数量で確認します。
事前相談では、危険物の類・品名・性状・指定数量、SDS、数量計算、配置、建築物又は工作物の構造、タンク・容器・棚・配管・ポンプ等の仕様、流出防止、換気・排出、消火設備及び標識・掲示板を説明できるようにします。第3章から第6章までで用意した図面・資料を、届出用にまとめ直します。
消防との確認後に、タンク容量、配置、開口部、換気設備、配管経路等が変わると、再協議又は届出内容の修正が必要になる場合があります。発注又は製作を先行させず、変更可能な計画段階で相談することが重要です。
届出期限は、自治体によって異なります。「設置する日」「工事に着手する日」「貯蔵又は取扱いを始める日」等、期限の起算日も同じではありません。提出先、提出部数、受付方法及び消防との事前協議に必要な期間を含め、工程を決める前に確認します。
東京都火災予防条例第58条では、少量危険物貯蔵取扱所を設置し、又は届出内容を変更しようとする者は、設置しようとする日、工事を伴う場合は工事着手日の10日前までに消防署長へ届け出ることとされています。これは東京都の基準であり、具体的な期限は設置地域の条例を確認します。
添付図書には、案内図、配置図、平面図、立面図、断面図、建築物又は工作物の構造図、危険物と数量の資料、タンク・容器・棚・架台・配管・ポンプ等の図面、機器仕様書、流出防止、換気・排出、警報、消火設備等の資料を用意します。必要な書類と図面の縮尺、記載内容及び提出形式は、自治体によって異なります。
消防は、届出書と添付図書により、危険物の種類・数量、貯蔵・取扱方法、施設の位置・構造・設備及び安全措置が、設置地域の条例等の基準に適合するかを確認します。計画内容を説明できる担当者を決め、照会、資料追加又は修正へ対応します。
使用開始前の検査又は現地確認の有無、名称、申込み方法、確認項目及び立会いの要否は、自治体によって異なります。届出の受理だけを理由に使用を開始せず、届出時に使用開始までの手順を確認します。
東京都火災予防条例第58条では、届出内容について消防署長が条例の基準への適合を審査し、貯蔵又は取扱いを開始する前に、位置、構造及び設備について消防署長の検査を受けることとされています。検査時は、届出図面と実際の設備を照合し、配管の試験、警報・遮断、換気・排出、消火設備等の必要な試験・作動記録を用意します。
変更の対象は、設備工事だけではありません。危険物の類・品名・最大数量、容器又はタンクの容量、配置、配管系統、ポンプ、換気・排出設備、流出防止措置、消火設備、貯蔵・取扱方法、運転条件等を変更する場合は、届出への影響を確認します。
東京都火災予防条例施行規則第14条では、危険物の品名・数量及び貯蔵・取扱方法に変更がなく、建築物又は工作物の構造・設備を火災予防上の安全性が同等のものへ取り替え、又は補修する変更のうち、三つの条件すべてに該当するものを軽微な変更として扱っています。軽微な変更の範囲は自治体によって異なるため、施工者又は設備所有者だけで判断しません。
変更届が不要と確認された場合も、変更図面、交換機器の仕様、施工日、施工者、試験結果及び消防へ確認した内容を記録します。変更後は、標識・掲示板、操作手順、点検表及び緊急時対応が実際の設備と一致していることを確認します。
少量危険物の貯蔵又は取扱いを廃止した場合は、廃止届の期限、様式、提出先及び必要資料を確認します。東京都火災予防条例第58条では、廃止後、遅滞なく消防署長へ届け出ることとされています。具体的な届出時期は、設置地域の条例を確認します。
廃止届を提出しても、タンク、容器、配管、ポンプ、ストレーナー、受け皿、ためます等に危険物が残っていれば、漏えい、誤使用又は火災の危険は残ります。残油、残液、可燃性蒸気、汚染物及び洗浄液の回収・保管・処理方法を定め、安全を確認してから設備を撤去又は閉止します。
設備を残置する場合は、誤注入、誤操作又は再使用が起きないよう、配管の切離し、閉止、表示等を行います。地下タンク、地下配管、汚染土壌又は排水への影響がある場合は、消防関係の手続きだけでなく、関係法令及び施設の管理条件も確認します。
完成時に基準へ適合しているだけでは十分ではありません。設備は、腐食、緩み、振動、経年劣化、温度変化、地盤沈下、容器の入替え、物品の増加及び使用条件の変更によって状態が変化します。異常を早期に発見し、漏えい、火災及び設備破損を防ぐため、設備と運用の両方を継続して確認します。
東京都火災予防条例第31条の3では、少量危険物貯蔵取扱所の所有者、管理者又は占有者に、位置、構造及び設備が技術上の基準に適合するよう適正に維持管理することを求めています。東京消防庁の運用基準では、この規定はタンク、配管等を適時適正に維持することを確認的に定めたもので、消防法上の許可施設と同じ点検記録保存等の措置を求めるものではないとされています。
一方、法令上の保存義務が明示されていない場合でも、点検日、点検者、異常箇所、補修内容及び再点検結果を記録することは、異常の傾向、交換時期及び事故時の状況を把握するうえで有効です。点検項目と実施時期は、設備の種類、設置環境、使用頻度、経過年数及びメーカーの保守条件を踏まえて定めます。
危険物の製品を変更する場合は、名称が似ていても同じ危険物とは限りません。変更後のSDSにより、消防法上の危険物への該当、類、品名、水溶性・非水溶性、危険等級、指定数量、引火点等を確認し、数量計算と設備材料への適合を見直します。
最大数量、容器数、タンク容量、棚の配置、注油方法、ポンプ能力、運転圧力、使用温度、返油量又は取扱工程を変更すると、同一の場所の数量区分、換気・排出、流出防止、配管・ポンプ及び消火設備の条件へ影響する場合があります。変更内容を一項目だけで判断せず、設備全体で確認します。
長期間停止した設備又は修繕した設備を再使用する場合は、腐食、漏えい、弁の開閉状態、通気・換気、警報・遮断、ポンプ、消火設備等を確認します。必要に応じて耐圧・漏えい試験、清掃、交換及び消防への確認を行い、安全を確認してから再開します。
火災、負傷者の発生、急速な漏えい、周囲への流出又は危険が切迫している場合は、人命と周囲の安全を最優先にして119番へ通報し、周囲の人へ知らせ、必要に応じて避難します。その他の異常についても、施設の緊急時手順に従い、必要に応じて消防本部・消防署へ連絡します。火気、電気設備又は車両等が着火源となるおそれがある場合は、危険な場所へ近づかず、消防隊の指示に従います。
安全に実施できる場合に限り、ポンプを停止し、供給側の弁を閉じ、漏えい箇所の下へ受け皿を置き、吸着材、土のうその他の資材で排水口又は敷地外への流出拡大を防ぎます。危険物を水で洗い流したり、性状を確認せずに処理剤を使用したりすると、流出範囲又は危険が広がることがあります。
通報時と消防隊到着時には、危険物の品名・数量・SDS、発生場所、設備系統、漏えい量、流出先、火気・電気設備、遮断弁、消火設備及び負傷者の有無を伝えます。緊急連絡先、設備停止手順、避難方法及び消防隊へ渡す資料を、平常時に準備しておきます。
火災又は漏えいが収まっても、原因が残ったまま使用を再開しません。漏えい箇所、腐食、振動、誤操作、弁の状態、圧力上昇、過充填、容器破損等の原因を特定し、同じ設備と周辺設備への影響を調べます。
回収した危険物、吸着材、汚染水、汚染土壌、損傷した容器等は、危険物の性状と関係法令に応じて保管・処理します。補修又は交換後は、必要な試験、作動確認及び点検を行い、変更届その他の手続きが必要かを確認します。
使用再開は、事故原因への対策、設備の安全確認、消防への報告・相談、必要な届出・検査及び社内手順の見直しを終えた後に行います。事故の概要、原因、応急措置、補修、試験及び再発防止策を記録し、点検項目と緊急時対応へ反映します。
届出がされていない、届出内容と実際の危険物・数量・設備が異なる、又は位置・構造・設備が基準に適合していないことが判明した場合は、現状をそのまま継続せず、事実関係と危険の程度を確認します。漏えい、火災又は設備破損のおそれがある場合は、安全を確保して使用を停止します。
設置場所を管轄する消防本部・消防署へ、危険物、数量、配置、設備、使用状況、変更経緯及び現在の安全措置を説明し、必要な届出、数量調整、補修、改修、検査その他の是正方法を協議します。無届又は基準違反に対する措置と罰則は自治体の条例によって異なります。
東京都火災予防条例では、少量危険物の貯蔵・取扱基準又は位置・構造・設備基準への違反、設置・変更届の未提出又は虚偽の届出、使用開始前検査の拒否・妨害・忌避等に罰則が定められています。罰則の有無だけで判断せず、事故を防ぐために、変更管理、点検、記録及び担当者間の連絡方法を見直します。
危険物の種類・数量、設置場所、設備区分、図面及び仕様を用意し、設備の発注、製作、工事又は運用変更を始める前に、設置場所を管轄する消防本部・消防署へ相談してください。届出対象、提出期限、使用開始前検査、変更・廃止の手続き及び事故時の連絡方法は、自治体によって異なります。
✓最終更新日・内容確認